#4:なんだかんだいっても重視される「外資企業経験」
日本の学校を卒業して、社会人になってからも日本のドメスティックな企業にずっと所属していた人は、正直なところ外資系企業の経営者に適任であるとは言い難い。特に欧米資本の企業の場合、その意思決定プロセスに慣れていなければ、いくら日本の中を知っていても、本社のトップを説得することはできないからだ。
また、説得するにしても、外資系企業の人事管理の仕組みや、考え方、発想を理解した上で交渉しなければ、文化のぶつかり合いになってしまう。その意味で、海外、もしくは外資系企業での就労経験があり、「外資のやり方」を体得していることは重要だ。
#5:エージェントが求めるのは「タレント性」
外資系企業の経営者の多くは、ヘッドハンティングされる。一度そうした過程を経てポストに就けば、それ以降は、それぞれ専属のエージェントが、複数社付くケースが多いという。ある意味で外資系企業の経営者は「タレント」なのだ。
外資系企業のトップを紹介するエージェントは、それぞれ独自の人材データベースを持っており、どの人材をどの企業に売り込むかを競い合っている。また、経営者クラスになると、その人材情報は、クチコミでも伝えられるという。
たいていは既に外資系企業の経営者になっている人からのクチコミ情報が、次の「優良人材情報」のソースとなるようだ。エージェントは、ある日突然やってきて、「こんな会社があるが社長にならないか?」と打診してくる。聞けば、ある人から紹介されたのだというのだが、「紹介した人は誰か?」と聞いても答えてはくれない。ソースに対しては、秘守義務があるようだ。そして、たいていの場合、エージェントは常に次の人材を探しており、外資系企業をあなたに紹介すると同時に「最近、誰か良いと思える人はいないか?」と尋ねるのが常だそうだ。
#6:経営者としてキズのない「経歴」
これは簡単な理由だ。外資系企業向け人材マーケットは狭い。従って、一度、経営者としての汚点が付いてしまうと、この世界では行き先がなくなってしまうのだ。だからというわけでもないだろうが、外資系企業の経営者は、けっこう「清く、正しい」人たちが多いらしい。
#7:自分の価値を高めるための「戦略」
外資系企業の経営者の中には、短期決戦型のタフな契約をあえて交わす人もいるようだ。例えば、日本でまだあまり知られていない伸びそうな外資系企業に自らを売り込み、売上に対するコミッションなどに対して、ハイリスク・ハイリターンのある意味で「激しい契約条件」をエージェントと取り交わし、2年ぐらいでぱっと転身しまうようなタイプだ(余談だが、こういうタイプの経営者の多くは、軽井沢に別荘を持っているらしい)。
もちろん、こういう人たちばかりが経営者になるわけではない。しかし、外資企業においては、一面でこうした「会社」と「本人」、場合によっては「エージェント」を含めたそれぞれが、等分のメリットとリスクを分け合うような契約を要求されることも珍しくないのだという。その意味で、自分の価値を高めるための戦略を立案実行できたり、ハードな短期決戦に対応できたりする能力も、重要になるケースがある。