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CIOはITが生み出すビジネス価値を示せ - (page 2)

聞き手・文=松岡功

2010-10-06 08:00

ビジネスの観点でIT投資を説明せよ

――期待に対してITがどれだけの成果を上げられるか、というお話がありましたが、言い換えるとIT化の度合いを明確にすることも大事だということですね。

Aron IT化の最大の目的は、あくまでもビジネス価値を生み出すことにあります。ただ、その価値を生み出すためにITはどういう仕組みがよいのか。たとえば、過剰なIT化で費用がかさんでしまったとなれば、それこそCIOの責任が問われます。

小西一有氏 小西一有氏

小西 その意味では、IT化の内容についても合理的な判断が求められるということですね。誤解を恐れずに言うと、特に日本企業の場合は、ビジネス価値との対比より、ITシステムはすべて高い可用性を実現していないといけないというのが常識になっています。

 もちろん、ミッションクリティカルなシステムについてはそうでないといけませんが、必ずしもすべてのITシステムに当てはまるわけではありません。一定の品質レベルでもビジネス価値を生み出せているのであれば、コスト的には相当軽減できるはずです。

 問題はむしろ、そういうことをわかっているはずのCIOやIT部門が、経営層や事業部門にきちんと説明できないことにあります。こうした点についても、特にCIOはしっかりとした説明責任が問われるようになってくると思います。

――なるほど。とはいえ、不況が長引く中で、CIOはCEOからITコスト削減を厳しく要求されているケースが多いのではないですか。

Aron 確かに昨今の情勢を考えれば、ITコスト削減への要求が強まっているのは当然でしょう。しかし、この点についてもCIOが果たすべき重要な役割があります。それはITコスト、つまりIT投資の中身をきちんと切り分けて、CEOをはじめとした経営層や各事業部門長に説明することです。

 この点についてはJosé Ruggeroからも説明があったと思いますが(第1回第2回を参照)、ガートナーではIT投資に対するビジネス価値を示すために、IT投資の中身を「ビジネス革新のための支出(Transform)」「ビジネス成長のための支出(Grows)」「ビジネス運営のための支出(Run)」の3つに分類しています。私たちはこれを「TGRフレームワーク」と呼んでいます。

 ビジネス革新のための支出とは、たとえば戦略・企画、マーケティング、製品開発の各プロセスに関わる費用です。ビジネス成長のための支出とはたとえば、マーケティング、CRM(顧客情報管理システム)、営業、製品開発、顧客サポートの各プロセスにかかわる費用です。これら2つには重複する部分もあり、あわせて開発費用ととらえることもできます。

 そしてビジネス運営のための支出とはたとえば、調達、製造・サービスデリバリ、人事、経理、法務、ITの各プロセスに関わる費用です。言い換えれば、この支出が運用費用です。

 現状では多くの企業が、ビジネス運営のためにIT投資全体の6~7割を支出しています。しかし、企業にとってはビジネス革新やビジネス成長のための支出が年々増えていき、運営の費用が少なくなっていく方が望ましいでしょう。

 そうした中で、まずCIOに求められるのは、IT投資をビジネス革新、ビジネス成長、ビジネス運営といったビジネスの観点で説明することです。そして、ビジネス運営ではコスト削減に努める一方、ビジネス革新やビジネス成長ではコスト削減を前提にするのではなく、投資できる範囲でいかにビジネス価値を生み出していくかを、経営層や各事業部門長も一緒になって考えてもらうように仕向けることです。その発信源になって、周りを引っ張っていくくらいの影響力をCIOにはぜひ持ってもらいたいと考えています。

 CIOがそれくらいの影響力を持つようになると、たとえばCEOとの話のやりとりでも、ITでどのようにビジネス価値を上げていくかが焦点になってくるでしょう。それでも、もしCEOが紋切り型でITコスト削減を要求してきたとしたら、それはむしろCEOの経営者としての資質が問われるといっても過言ではないでしょうね。

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