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新着記事集:「負荷分散」

パブリッククラウドへの移行--検討しておくべきコストとリスク - (page 2)

文:Colin Smith(Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2010-10-13 08:00

コストの低減

 まず、ここでは仮想マシンを使用した場合と、物理的なサーバを使用した場合の1時間当たりのコストを比較していることに着目すると、少しばかりの調整を加える必要性が見えてくるはずだ。サーバの稼働率は4%(「Data Centers Only Operating at 4% Utilization」という記事)から7%(「Kundra: Fed Data Centers 7 Percent Utilized」という記事:Kundra氏は米連邦政府の最高情報責任者(CIO))であるとするアナリストもいるものの、Gartnerによると、従来のデータセンターの稼働率は15〜20%であるという。仮想化によりこういった数値が40%にまで向上し、仮想化に伴うコスト増もないと仮定すれば、1時間当たり0.125ドルというコストになる。

 仮想化テクノロジの採用は、コストを低減するための最初のステップとして素晴らしいものの、それでも1時間当たりのコストはまだパブリッククラウドの2倍となっている。IT部門は他にどういったことができるのだろうか?ほとんどの大規模企業は、管理ツールの採用によって全体的な管理コストを削減するとともに、データセンターの信頼性を向上させようとすることになるだろう。

 これによりおそらく、コストをさらに20%減らすことが可能になるはずだ。これで、自社システムにおける仮想マシンの1時間当たりのコストは0.10ドルとなる。

業務要件

 悪くはない数値だが、それでもまだ、パブリッククラウドと比べると倍のコストが掛かっている。CIOや最高財務責任者(CFO)に対して、こういったコスト高の妥当性を説明できるだろうか?ここで、自社の業務に対する理解がものをいうことになる。コストとは無関係だが、把握しておく必要のある問題として、どういったものがあるのだろうか?以下のような事項に目を向けてほしい。

  • サービス品質保証契約(SLA):EC2は99.95%の稼働率を保証している。しかし、あなたの会社が利用しているサーバが長時間ダウンした場合、どうなるのかを考えたことがあるだろうか?2009年にAmazonのデータセンターの1つが落雷の被害を受けた際、一部のクライアントは4時間のサービス停止を余儀なくされたのである。こういった事態が発生した場合、ちゃんと要求すれば、翌月の請求金額が割り引かれるだろう。しかし、EC2のように何千台ものサーバがある環境において、データセンター要員は、復旧するサーバの優先順位をどのようにして決定するのだろうか?また、ドメインコントローラよりもSQLサーバが先に起動した場合はどうなるのだろうか?
  • セキュリティ:データの流出は?データの所有権は?司法管轄区域は?クラウドプロバイダーの要員は、どの程度しっかり人選、統制されているのだろうか(ユーザーアカウントに不正にアクセスしたとして解雇された元GoogleエンジニアのDavid Barksdaleのことを覚えているだろうか)?情報漏えいを防ぐうえで、どういったセキュリティ対策が実施されているのだろうか?自社のデータを他の企業のハードウェア内に格納する場合、どのような権利を放棄することになるのだろうか?ハードディスクの廃棄手順は、どのようになっているのだろうか?複数のユーザーが共同利用するクラウドにおいて、あるユーザーが米国土安全保障省や米国税庁といった当局による取り調べを受けた場合や、そのユーザーの情報が格納されているハードウェアすべてが押収された場合、どうなるのだろうか?自社のデータが特定の司法管轄区域内から持ち出されないという保証はあるのだろうか?
  • 法律の遵守:SOX法(Sarbanes-Oxley Act:米国企業改革法)やPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard:PCIデータセキュリティスタンダード)、カナダのPIPEDA(Personal Information Protection and Electronic Documents Act:個人情報保護および電子文書法)、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act:医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、GLBA(Gramm-Leach-Bliley Act:金融機関向け顧客情報守秘に関する法律)など。パブリッククラウド内のシステムを利用する場合でも、法律を遵守できるだろうか?
  • その他:既存のライセンスは、クラウドに移行できるのだろうか?また、クラウドプロバイダーが廃業した場合、どうなるのだろうか?

 あなたの会社は、こういったリスクを抱える覚悟があるだろうか?業務要件を把握することで、一部のアプリケーションをパブリッククラウドに移行することが理に適っているという結論に達する場合もあるだろう。パブリッククラウドに適しているものとして、訓練用のサーバや、デモ環境、ユーザー受け入れテスト(UAT)環境を挙げることができる。

結論

 本記事では、パブリッククラウドを利用する場合よりもコストが高くなったとしても、自社内にシステムを設置するべきであると主張できる根拠を、付加価値という観点からいくつか挙げた。こういった点だけではなく、運用コストを削減するための戦略(仮想化や高可用性、セルフサービス型のポータル、機能の豊富な管理ツールなど)にも目を向けることで、プライベートクラウドの構築に向けて検討を開始したと言えるようになる。企業によって実際のコストは異なってくるとはいうものの、結論は明らかだろう:大規模企業のIT部門がパブリッククラウドに対してとり得る最善の対応は、プライベートクラウドの構築に向けた計画立案を始めることなのである。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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