仮想化ではここに注意!--見落としがちな7つの問題領域 - (page 2)

文:Colin Smith (Special to TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2010-10-14 08:00

#3:バックアップ

 より少ない物理ハードウェア上でより多くの仮想マシンを稼働させることで、純粋な容量上の問題(バックアップ対象のデータ量)であったものが、時間とリソースの問題となって浮上してくる。共有されている物理的なリソース(たいていの場合、I/Oおよび/あるいはネットワーク)が、バックアップの運用による影響を受けることになるのである。サーバ1台当たりの負荷は、同じホストを共有する仮想マシンが増えるとともに増加していく。単一仮想マシンのバックアップによって、そのホストを使用している他の仮想マシンのパフォーマンスに影響が及ぶこともあるわけだ。このため最終的に、バックアップのために確保する時間帯は長くなっていくことになる。

 バックアップに対する要求を縮小するには、冗長データをなくすことでバックアップ対象データ量の削減を図ることになる。一部のベンダーは最大で90%の削減が可能になると主張している。

 他にも、日中のアイドル時間を使用し、パフォーマンスに影響を与えることなくバックアップを行えるような、ハイパーバイザの利点を活かした仮想マシン対応のツールを使用するという戦略がある。なお、こういったソリューションの大半は、仮想アプライアンスの形態で提供されている。

#4:ストレージ

 より少ない物理I/Oリソースにおいて、より多くの仮想マシンを稼働させることで、限界ぎりぎりまで効率性を追求することになる。しかしたいていの場合、複数の仮想マシンをサポートするために各物理マシン上でより多くのディスクが必要となり、同じストレージリソースに対して競合する仮想マシンが増えるとともにディスクのチャネルは飽和していく。

 その一方、モバイル向け仮想マシン(Live MigrationやVMotion)では、特定の高可用性(HA)モデルを実装した共有ストレージが要求されている。

 これは複雑な問題であり、単純なソリューションがあるわけではない。しかし、利用できる可能性のある戦略としては以下のようなものがある。

  • 同系統の仮想マシン(例えばOS)の大部分は似通ったものとなっているため、冗長なデータの削減や、クローンディスクと差分ディスクの関連付けによって仮想マシンのフットプリントを最小化することができる。
  • SANテクノロジを使用して、ディスクI/O(FCやiSCSIなど)と、高可用性に対するアクセスを最大化する。
  • シンプロビジョニングを採用し、必要に応じて動的にディスクを割り当てることで、オーバープロビジョニングを避ける。
  • フラグメンテーションの発生している仮想環境内で作り出される潜在的なフラグメンテーションを避けるため、ホストシステムとゲスト仮想マシンの双方でデフラグツールを使用する

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]