#3:バックアップ
より少ない物理ハードウェア上でより多くの仮想マシンを稼働させることで、純粋な容量上の問題(バックアップ対象のデータ量)であったものが、時間とリソースの問題となって浮上してくる。共有されている物理的なリソース(たいていの場合、I/Oおよび/あるいはネットワーク)が、バックアップの運用による影響を受けることになるのである。サーバ1台当たりの負荷は、同じホストを共有する仮想マシンが増えるとともに増加していく。単一仮想マシンのバックアップによって、そのホストを使用している他の仮想マシンのパフォーマンスに影響が及ぶこともあるわけだ。このため最終的に、バックアップのために確保する時間帯は長くなっていくことになる。
バックアップに対する要求を縮小するには、冗長データをなくすことでバックアップ対象データ量の削減を図ることになる。一部のベンダーは最大で90%の削減が可能になると主張している。
他にも、日中のアイドル時間を使用し、パフォーマンスに影響を与えることなくバックアップを行えるような、ハイパーバイザの利点を活かした仮想マシン対応のツールを使用するという戦略がある。なお、こういったソリューションの大半は、仮想アプライアンスの形態で提供されている。
#4:ストレージ
より少ない物理I/Oリソースにおいて、より多くの仮想マシンを稼働させることで、限界ぎりぎりまで効率性を追求することになる。しかしたいていの場合、複数の仮想マシンをサポートするために各物理マシン上でより多くのディスクが必要となり、同じストレージリソースに対して競合する仮想マシンが増えるとともにディスクのチャネルは飽和していく。
その一方、モバイル向け仮想マシン(Live MigrationやVMotion)では、特定の高可用性(HA)モデルを実装した共有ストレージが要求されている。
これは複雑な問題であり、単純なソリューションがあるわけではない。しかし、利用できる可能性のある戦略としては以下のようなものがある。
- 同系統の仮想マシン(例えばOS)の大部分は似通ったものとなっているため、冗長なデータの削減や、クローンディスクと差分ディスクの関連付けによって仮想マシンのフットプリントを最小化することができる。
- SANテクノロジを使用して、ディスクI/O(FCやiSCSIなど)と、高可用性に対するアクセスを最大化する。
- シンプロビジョニングを採用し、必要に応じて動的にディスクを割り当てることで、オーバープロビジョニングを避ける。
- フラグメンテーションの発生している仮想環境内で作り出される潜在的なフラグメンテーションを避けるため、ホストシステムとゲスト仮想マシンの双方でデフラグツールを使用する