フィードに知性を持たせること、そして自分に重要な情報や人をフィルタリングするといったことは、ビジネスの世界での次の大きな波となる。例えばFacebookで私は約850人の知り合いとつながっているが、全員のフィードを平等にチェックしたいわけではない。そこでフィルタ技術が重要な役目を果たしている。フィードをフィルタすることで自分に感心のある情報が振り分けられ、フィードの質が上がる。ビジネスフィードも同じで、人、ドキュメント、データなど、すべてがフィルタされていくようになるのだ。
--9月末にリリースしたChatter 2ではフィルタ技術が実装されたのだとか。
その通りだ。フォローしている商談、ユーザー、グループなど、さまざまな分野でフィルタできるようになった。ほかにもChatter 2ではレコメンド機能が実装された。フォローすべき人やグループをChatterが提案してくれるのだ。Facebookでは友人であるかどうかが重要だが、このレコメンド機能はお互いの関係よりも、担当している分野で重要な情報を発信しているかどうかで判断する。ChatterはFacebookに例えられることが多いが、この点ではTwitterに近いと言えるだろう。
また、ハッシュタグ(日本語にも対応)もChatter 2で新しく加わった機能だ。特定のトピックについてより詳しく知りたいと思った場合、ハッシュタグがあればワンクリックで関連情報にアクセスできる。
Chatter 1はベーシックな機能が中心で、主な機能といえばグループ機能だった。それでもこの機能だけでグループ発信するメーリングリストのようなメールが大幅に削減できた。Chatter 2でさらにコミュニケーション方法が進化するだろう。
--Chatterは面白いサービスだと思うが、社員の中には新しい技術にとけ込めない人もいるのではないか。そういう人たちも巻き込んで全員でうまく情報共有するにはどうすれば良いのか。
これにはソーシャル的なアプローチと技術的アプローチがある。まずソーシャル的アプローチとしてわが社の場合は、Chatterを非常に活発に使っているトップユーザーを世界中から10名ほど集め、本社の経営陣とのミーティングに招待した。Chatterの活発なユーザーであれば、その人の役職は関係なく集めたのだ。彼らはChatter上で情報を積極的に共有し、質問に答え、人を助けている、企業のナレッジのハブとなっている人たちだ。そういう人たちと経営陣を近づけて、階層型組織のあり方を変えたいと思った。
このように、企業のあり方をも変えるソーシャル的な要素は、この方法が正しいということを企業のCEOやリーダーが理解していなければ進められない。つまり、組織に透明性を持たせることが重要だとリーダーが気づく必要があるのだ。これは、従業員を信用していなければ実現できないし、人は間違いを犯すこともあると理解しなければならない。また、Chatterを使って人を非難したり注意したりするような使い方は良くないということも理解すべきだ。