一方、技術的なアプローチとしては、企業内でChatterをまだ利用していないユーザーを招待するような技術が考えられる。特定の人をChatter上でのグループディスカッションに巻き込みたいこともあるだろうし、助けが必要だったり意見を求めたい場合もあるだろう。そのようなとき、適切な人をシステムが招待できるような仕組みが今後必要になるだろう。
--Chatterをメールとどのように使い分ければ良いのか。ポリシーはあるのか。
メーリングリストのようにグループ内でやりとりするようなコミュニケーションはChatterに向いている。CEOのMarc Benioffが述べていたように、わが社でも30~40%程度メールの量が削減できた。
私自身のChatterフィードを見せてあげよう。従業員の誰かがウェブサイトに問題があることを発見し、私のChatterページにそのことを書き込んだ。私はCMOで、何らかの問題があれば報告を受ける責任者だからだ。従来であればこのような報告はメールで受け、私が適切な担当者にメールを転送することになる。それがChatterだと、私に対する書き込みを見た担当者が私より先にこのフィードに反応し、私が確認した時にはすでに問題が解決していた。
これがメールだったらどうだろう。問題を見つけた人が私にメールを送り、そのメールを私が担当者に転送する。つまり、メールが転送されるまでは問題が解決されないことになる。Chatterのおかげでメールの量が減っただけでなく、問題解決に至る時間も短縮されたのだ。
Chatterの使用方法についてポリシーを決めているわけではないので、今は各自学びつつ使っている状態だ。ただし、社内の簡単な取り決めとして、つぶやく内容は仕事関係のことに限定すること、プロフィールの写真は自分の顔がわかるプロフェッショナルなものを使用すること、などがある。このように、ある程度のルールはどの企業も決める必要があるだろう。
--Chatterは今後どのように進化していくのか。
現在内部でベータテスト中のiPhoneアプリが年内にも公開される予定だ。iPadやBlackBerry対応のアプリも同時に発表できるだろう。Android対応版は、2011年明けをめどにリリースする予定だ。
こうしたソーシャルツールの採用は、企業のステップアップにつながる。例えば営業担当者の成績は、売上で判断することもできるが、その人がどのようなネットワークに属していて、そこでどれだけアクティブに活動しているのか、キーパーソンになり得る人なのかどうかということからも判断できる。そのようなソーシャルアクティビティを測定する方法は今までなかったのだ。ソーシャルアクティビティが企業のパフォーマンスにまで影響を与えるというのは革新的なことだ。ソーシャルツールは従業員の可能性を引き出し、知恵を活用し、企業を変えることにまでつながっていくのだ。