#9:Inspiration and Charm(Charisma、カリスマ性)
インスピレーションと人間的な魅力、人々を一瞬で信頼させ先導していく力、つまり「カリスマ性」は、非常に強力な成功者の要素だ。また、自分が非常にタフなキャラクターだとわかっている場合、自分を補完するようなメンバーがブレーンとして必要だ。従ってカリスマは、チームが補完しあうことで、全体として強いチームが生まれることを理解している人だともいえる。
ビジネスは、1人では成し得ない。成功するためには優れたチームが、一丸となって目標を目指すことが必要だ。起業家にカリスマ性があれば、情熱溢れる優秀な人材を自分のチームに迎え入れ、強い組織を作り上げることができる。無から有を作り出し、リスクを越えて成功するためには、このカリスマ性は不可欠だといえるだろう。
また、強いチームを作るためには、トップのカリスマ性とともに、メンバーのメンターシップ(育成)やインスパイア(喚起)も必要となる。あとはこれに、最初に挙げた「情熱」が加わる。これらがメンバーを惹きつけるのだが、彼らを起動させ、すべてを総動員して、総合力を発揮させるにはテクニックも必要だ。カリスマ性には、そのスキルも含まれると私は考えている。
#10:Right Time(最適なタイミング)
これまで、成功した起業家の共通点として9つの要素を挙げてきたが、それらは必ずしも特別のものであるとは言い難い。そう考えると、成功する起業家の共通点として最大のものは、何かもっと特別なものであるような気がする。それは突き詰めて考えていくと、やはり「運命」なのだろうか。その言葉が嫌いなら「最適なタイミング」だと言うことができる。
確かに、彼らは、最適なタイミングで、ビジネスモデルや製品を世の中に送り出し、成功を収めている。それはまさに「時宜を得た」ビジネス展開であり、確証のない世界で、なぜ、そのようなことができたのかは、本人たちでさえ説明がつかないだろう。私は普段、運命論者のような言葉は決して使わないが、そう考えなければ説明がつかないことが成功者の中にはあることも事実だ。
#11:Risk Taker(リスクを取る人)
起業には、大きなリスクも伴う。ゆえに、最後に何よりも重要な要素として「リスクを取る人」であることを挙げたい。
私自身、DHRに参加する際にはリスクを取った。私は給料を断り、株だけを要求したのだ。つまり、自分の報酬は、業績の向上によってのみ得られる株の配当だけというリスクを取ったということになる。幸運な事に、私が会社に参加した2004年は、マーケットが非常に好調な年で、我々のチームは急速に業績を伸長させていくことができた。また、それ以上に我々が真摯に取り組んだ結果として、リーマンショックに端を発する世界的金融不況からもうまく身をかわすことができたといえるだろう。