FAX配信、メール配信などのドキュメントデリバリサービスやマーケティング支援などを主要事業とするネクスウェイは、Salesforce.comが情報共有ツールとして6月に正式リリースした「Salesforce Chatter」を国内でいち早く導入した企業だ。
同社がChatterを利用開始したのは、プライベートベータプログラムの段階だった4月のこと。当初から「導入後10日で効果が実感できた」としていたが、その後もうまくChatterを活用し、約半年が経過した現在ではすでに社内のコミュニケーションツールとして定着したようだ。
同社のChatter導入を陰で大きく支えたのは、ネクスウェイ マーケティングソリューション推進部 カスタマーオリエンテッドマーケティング推進Prj.の上田代里子氏だ。上田氏に、Chatter導入の背景や課題、そして導入効果などを聞いた。
ナレッジ共有の向上を目指して
上田氏によると、ネクスウェイにはすでにナレッジ共有の文化が存在していたという。これまでにも毎週情報共有のための会議を設けていたほか、メーリングリストなどによる業務報告や営業提案書などの情報も共有していた。しかし、部署内での情報共有はうまくできていたものの、全営業担当者の間で横断的にやりとりする仕組みがない上に、週ごとの報告会ではリアルタイム性がない。また、同社では約4年間に渡ってSalesforce.comのCRMを活用し、各担当者が商談情報を公開していたが、その商談情報も自主的に見に行かない限り情報が手に入ることはなかったのだ。
「こうした課題を解決できるのがChatterではないかと考えた。まずは営業担当者でChatterを活用してナレッジ共有をより活性化させ、その結果営業活動にどのようなメリットが出るのかを検証したかった」と、上田氏は導入時の背景を振り返る。
Chatterの導入にあたってネクスウェイでは、ナレッジ共有を活性化するという目的があること、そしてChatterを活用するにあたってまず2カ月間で検証すべきことを全ユーザーに説明した。検証ポイントとなったのは、Chatterの機能が十分かどうか、使い勝手はどうか、どのようなメリット、デメリットがあるかなどだ。
こうして4月1日、ネクスウェイはChatterの国内における最初のベータユーザーの1社として新ツールを使い出すこととなった。
まずはChatterを理解してもらう
ネクスウェイでChatterを利用することになったユーザーは約130人。Chatterのインターフェースや使い方は、インターネットユーザーの間で普及しつつあるTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアと似ており、難しい操作は必要ない。ただし、どのような情報を共有するべきか、またその情報がどう役立つのかがわからなければ、せっかくのツールも使われないままになってしまう。
そこでネクスウェイでは、約130人のユーザーの中から、現場に近い立場でChatterを積極的に使い、他のユーザーにも影響を与えそうな約10人を「Chatter推進者」とした。上田氏を含む推進者たちが中心となって、自然にChatter上でうまくコミュニケーションができるよう仕向けたのだ。