「Chatterでは意味のあることをつぶやこうという方針は示していたものの、最初は何を情報共有していいのかわからない人もいて、『昨日はA社のBさんと飲みに行った』といったような発言もあった。その場合、発言をやめさせるのではなく、『A社はまだお客様ではないのでは?』とコメントすると、別の営業担当者が『こちらの部署でもA社にコンタクトしようと思っていたところ』と返す人も出てくる。こうすれば、最初の発言が意味のあるものになる。推進者には、Chatterをこのような意味のある場に作り上げるようにしてもらった」(上田氏)
最初の約1カ月は時々雑談もあったというが、「雑談を禁止するのではなく、会話の展開方法を理解してもらうべくコメントを工夫した」と上田氏。そうすることで意味のないつぶやきがなくなり、目指すべき場所になってきたとう。
また上田氏は「自分で伝えたいことを伝えるだけの場所にはしたくなかった」と話す。「例えば、技術者が自分にだけわかるような難しい技術情報ばかり書き込むようになると、営業担当者は自分に無関係だと思って見なくなるかもしれない。まずは営業ツールとしてChatterを検証するという目的があったので、技術者のひとりごとのような書き込みがあった場合は、営業にもわかりやすいようかみくだいた内容にしてほしいと技術者にお願いすることもあった」(上田氏)。立ち上がり時が重要だと感じていた上田氏は、導入当初はこうして常にChatter上での発言を注意深く観察していた。
参加者を増やすために
上田氏をはじめとする推進者らの努力もあって、1カ月程度でChatterはしかるべき場へとなりつつあった。次に課題となるのは、参加していない人をいかにして巻き込むかだ。
まずは、Chatterを見てはいるものの、積極的に使ってはいないという人に向けたワークショップを開催した。なぜ使いにくいのか、何があれば使えるのかを話し合った際、Chatterを仕事に役立てている人がどのように活用しているのかを知りたいという声が上がった。
そこで上田氏は、Chatterを使いこなしている人の発言部分をメールに例として添付し、考察を記載した上で全社にメールマガジンとして送付、情報を共有した。「通常のメールとして送ることで、Chatterを使っていない人にもその良さをわかってもらうようにした。メールマガジンを送付するごとに、ログイン数も徐々に増えていった」と上田氏は言う。
例えば次のような情報交換がChatter上で行われたという。