技術的側面だけでなく、ビジネス上の課題にも応える--CAの仮想化、自動化戦略 - (page 2)

大川淳

2010-11-10 12:00

 9月28日には、米Hyperformixを買収した。同社は、キャパシティを管理し最適化する製品とその技術を保有しており、これが加わることで、CAの製品群に新たな広がりと深みをもたらすことになる。仮想化の普及が進むにつれ、ユーザー側の仮想マシンが約50台から約1000台と膨れあがり、ワークロードが多くなってくると、これらの製品群の持つ意味もまた変化し、大きくなる。

 合併や買収は今後も継続していく方針だ。我々の革新戦略での重要な鍵となる。いま、長期的かつ俯瞰的な視点で、これから先どのような技術領域の企業を買収しようか策を練っている。セキュリティ、アプリケーション開発、ディプロイメント、ネットワーク関連、ストレージなど、さまざまな可能性がある。最終的には顧客の声を聞きながら、方法論に即してどうすれば顧客の目的達成に寄与できるかという立場に立って戦略を考える。

--多くの課題を抱える企業に対し、CAはどう支援していくのか。

 仮想化、自動化の支援にあたり、CAは企業それぞれの、いわば成熟度に応じた手法を採っている。クラウドの着手に際して、大手や中堅中小の一般的な企業は、プライベートクラウドへの道筋を考えているところが少なくない。また、サービスプロバイダーなどは、自社のどのようなサービスをクラウド化しようかという、パブリッククラウドを検討することになる。これら企業は、局面、段階ごとに、それらに応じた支援を強く希望しており、我々はこれに応えていきたい。ここで重要なことは、これまで顧客が投資してきた技術を有効に活用していくことだと考えている。

 企業のCIOにとって大きな意味を持つのは、ある技術の導入によりコスト低減化につながるだけでなく、ビジネス上の結果に直結しているかどうかということだ。どのような戦略が何をもたらすのか、CIOに対し提示できることが我々の強みだ。技術上とビジネス上、2つの目標の位置づけを明確化し、それぞれを測定評価する専門部隊もある。新技術導入の結果、それがどの程度コスト低減化につながったのか、あるいは追加的なコストが不要になったのか、また、ビジネスプロセスに何をもたらしたのかなどを評価する。これにより、我々は企業の幹部にIT投資の効果を説明しつつ、技術を提供することができる。

 もうひとつの大きな差別化要因は、Catalystと呼ばれる技術だ。これは30以上の統合化ポイントを持ち、さまざまな製品群を統合できる。統合化された多様な製品群により、顧客の幅広い要望に応じることができる。たとえば、戦術的に特化した分野で攻めていきたい、あるいは、包括的かつ大局的に今後仮想化に向けどんな点から始めていけば良いかなど、企業の目指す方向はさまざまだが、そのいずれにも応えられる。物理的環境、仮想化環境をうまく組み合わせ、できるだけ間接費を使わずビジネス上の目標を達成できる道のりが見えてくる。

--日本市場についての戦略、見解は。

 CAとしては、米国以外での国際的な事業の売り上げを特に伸長させていくことが全社的な命題となっている。日本でも、パートナーと継続的に連携を強化しながら、新たな機会を見出していきたい。これまで取り組んでいなかったざまざまな潜在性、可能性も議論できる段階にあるのではないか。

 今後の仮想化管理では、明確な照準をあわせている。パートナーとともに、日本での市場を拡大していくことについてブレはない。製品群に顧客からのフィードバックをうまく組み込みながら、さらに要望に対応していきたい。

 仮想化は、次世代のデータセンターにとって不可欠の技術であるといえよう。最近の世界の潮流は、多くの企業が仮想化技術の導入によってコストを削減したり効率化を図るなど、変革期にある。この流れのなかに可能性があり、多くの企業はその波に乗っている。日本の企業もそれに乗っていくことだろう。仮想化はクラウド化への第一歩だ。各企業はそれぞれの状況に応じ、段階を踏まえ進んでいくことであろう。事業体として、仮想化をはじめとする技術の導入により何を達成したいのかということを考えてもらえると良い。

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