iPadには明確に需要がある
--コンシューマー分野のイノベーションがエンタープライズITに与える影響がますます大きくなっています。この分野にSAPはどう取り組んでいますか?
確かに、ハイテク業界ではコンシューマーのトレンドが大きな位置を占めるようになりました。SAPの従業員もコンシューマーであり、この1年から1年半で社員がコンシューマーのエクスペリエンスを社内に持ち込んでいると実感しています。ライフスタイルがそのままワークスタイルになっているのです。モバイルはこれが最も顕著に現れている領域でしょう。
2010年の初めにiPadが発表されました。私はこれを新しいビジネス分野だと定義しています。サイズ、重量、常時接続、アプリケーションの種類など、iPadの特徴はエンタープライズITにとって、これまでにはなかった新しいチャンスをもたらしています。
そこで5月、社内向けに初のiPadアプリケーションを発表しました。これにあたり、社内でiPadをサポートする準備を整えておく必要があったのですが、「Sybase Unwired Platform」を利用してサポート体制を構築しました。こうやってiPadからVPN経由で社内ネットワークに統合し、BIレポーティングなどを実現しました。
ステップとしては、最初は限定的な実装となり数千台規模でスタートしました。現在は約1万5000台にまで拡大しています。初めはiPad向けにアプリケーションを開発する開発部門を対象に、その後、営業部門とマーケティング部門に導入しました。数週間前に全社レベルまで拡大しています。
導入してみてわかったことは、明確にビジネス需要とビジネスケースがあるということです。SAPはモバイル時代を全面的に受け入れ、新しい時代に向けて全社レベルで対応をすすめています。
次のステップはデバイス中立性です。つまり、iPad以外の端末のサポートです。サムスン電子のAndroidタブレットやResearch In MotionのBlackBerry Playbookにも対応していきます。
ここでは買収したSybaseの「Afaria」が活躍します。Afariaは複数の端末をサポートする技術で、デバイス管理、セキュリティポリシーの施行、Jailbreak対策、アプリケーション利用のモニタリングなどが可能です。今後、AfariaはSAPのデバイス中立性戦略の実現にあたって、中心的なプラットフォームになると見ています。すべてには対応できませんが、主要端末はすべてサポートしていく方針です。
--インターフェース面でコンシューマー技術の影響はありますか?
SAPはこの数年、UIにフォーカスして投資を続けてきました。SAPに限らずアプリケーションのデザインが洗練されてきており、ここでもモバイルのトレンドを感じます。