縮小する情報サービス産業
以前取り上げたように、情報サービス産業は現在縮小しようとしている。下にあるグラフの通り、2009年は前年度売り上げを大きく下回り、今後国内景気の低迷が続けば、さらに成長の絵を描くのが難しくなる。
一方で、折れ線で示されている従業者数は売り上げの縮小にも関わらず、これまでと同じペースで伸び続けている。結果的には、一人あたりの売り上げや収益の縮小につながっているはずである。
もし情報サービス産業の売り上げ縮小が、ソフトウェア利用の個別開発からクラウド利用への転換に起因するものであるならば、労働集約的なソフトウェア開発の減少によって従業者数も減少すると考えられるが、そうはなっていない。つまり、リーマンショック後の投資抑制の煽りを受けて売上高が減少したものの、従業者数削減などの対応が機動的には取られなかったということだ。
営業・開発現場への影響
結果的に、営業・開発の現場は、顧客から要請される値引き要求に対応しつつ、緩められることのない品質要求との狭間で苦しむこととなる。これはITバブル後にSI企業が拡大路線の結果として多くのトラブル案件に巻き込まれ、収益を悪化させた時の記憶を呼び起こす。その際に、SI企業はプロジェクト管理を強化し、これによって、トラブル案件の発生は抑制されたものの、現場の負荷は増大した。
結果として、営業・開発の現場では、儲からないのに一体何のためにこんな仕事をしているのかというような状況が生じる。
思いのマネジメント
こうした状況に対して、ビジネス戦略で対応していくというのももちろん必要である。たとえば、海外の成長市場へ進出するとか、クラウドソリューションによって顧客ベースを拡充するとか。
しかし、いったんマインドセットが縮小傾向に慣れてしまうと、どうも戦略というものが空虚に響くようになる。これを転換するのが、“思いのマネジメント(Management By Belief:MBB)”である。