シスコのコラボレーション戦略は、さらに広がる。「Android」をベースにした企業向けタブレット端末「Cisco Cius」だ。7インチの画面でカメラも搭載されているCiusは米国で6月に発表されており、今回のイベントの基調講演で初めて日本で公開されている。基調講演では、Ciusから(シスコのコラボレーション戦略の柱である)SaaS型ウェブ会議システム「WebEx」で会議に参加するデモも行われている。
このCiusは、イベント同日に発表されたシスコの「Cisco Virtualization eXperience Infrastructure(VXI)」フレームワークをベースにしたものだ。VXIは、仮想デスクトップ基盤(VDI)を強化、拡張したフレームワークとしている。
「VMware View」や「Citrix XenDesktop」などが相次いで発表され、企業での導入が進みつつあるが、VDIは映像や音声などのリッチメディアの処理に弱いと指摘されてきた。シスコのVXIは、VDIでリッチメディアを処理できるようになっており、「VDIとコラボレーションを両立できる」と、平井氏はメリットを強調している。
Wi-Fiと3G回線に接続するCiusは、ドッキングステーションに置くことでVXIのクライアント端末として稼働し、外出先ではVDIに接続することができる。提供時期は2011年1〜3月を予定しているが、価格は未定。
シスコでは、VXIクライアントとして「Cisco Virtualization Experience Client(VXC)2100/2200」シリーズも同日発表している。 同社は、この両製品をゼロクライアントデバイスと説明。VXC 2100は、同社のIP電話端末「Cisco Unified IPフォン 9900/8900」シリーズの背面に装着するものであり、VXC 2200はスタンドアロン型だ。
どちらもVMware View 4.5とXenDesktop 5に対応しており、モニタとキーボード、マウスをつなげれば、仮想デスクトップにアクセスできる。VXC 2100はIPフォンのPoE(Power over Ethernet)経由で電源を供給され、VXC 2200は、PoEに対応したスイッチから電源を供給される(ACアダプタもオプションで提供される)。どちらも価格は未定だが、2011年1〜6月には提供を予定している。
イベントの基調講演の後で開かれた説明会では、テレプレゼンスの新製品として「Cisco TelePresence 500 32"」と「Cisco TelePresence EX60」が発表されている。説明会の中で平井氏は買収を完了したタンバーグについて「製品のポートフォリオが拡大したことで、顧客企業の選択の幅が広がっている」とメリットを強調。もともとシスコが提供していたテレプレゼンス製品を買収したタンバーグのメンバーに移管したことも明らかにしている。