NECは12月14日、広島大学で端末1000台を超える大規模なシンクライアントシステムを構築し、同システムが稼動を開始したことを発表した。
導入したのは、ネットブート型のシンクライアントシステム。OSやアプリケーションともサーバからロードし、端末側で実行する方式で、アプリケーションや周辺機器の制約が少ないというメリットがあるという。
OSや教育向けアプリケーションをサーバで集中管理することで、2万人を超える学生や教職員などの利用者は、それらのソフトを端末にダウンロードして使うことができる。端末の高性能な資源を利用することで、動画コンテンツや3Dグラフィックスの利用などの高度な処理を実現、端末内にデータを保存しないことで、セキュリティの強化とサーバ一括管理によるシステム運用の効率化も実現するとしている。
同システムは、NECの省電力サーバ「Express5800/i120Ra-e1」30台を中核に、端末には小型ワークステーション「Express5800/51Ma」1144台で構成。両製品の低消費電力性により、環境保全への貢献を推進するシステムを実現したという。
年間消費電力量を少なくとも3万kWh(CO2換算で約7950kg)削減できると見込んでおり、従来システムと比べて約67%のCO2削減となるとしている。静音性に優れたExpress5800/51Maの採用で、木の葉の触れ合う音並みの22デシベル以下の静音性の実現と手のひらに収まる省スペース性を両立させる設計により、教室や自習室の限られたスペースを快適に有効活用しているという。
広島大学では、シンクライアント端末を東広島、霞、東千田の3つのキャンパスに分散する教室や図書館などに設置した。プログラミングや数値計算、画像処理など約50種のアプリケーションが活用される。ICカードを利用した認証システムとの連携や、Windowsに加えてLinuxを容易に動作させることのできる起動画面など、多くの学部での授業や自習で使いやすいシステムを実現しているという。
OSやアプリケーションをサーバで一元管理することで、カリキュラムの変更に柔軟に対応した教育研究環境を実現したという。今回のシステムでは、起動イメージを専用ストレージ上にのみ配置することで、サーバ間での複製をすることなく、起動イメージの更新作業を一元化できるため、システム管理者の運用負荷をより削減することができるのだという。
従来の大規模なネットブート型シンクライアントシステムでは、端末で利用する起動イメージを複数のサーバに分散配置する必要があった。そのため、パッチの適用やアプリケーションの追加など更新したイメージを利用するには、これらのサーバに新しい起動イメージを配布する時間や手間がかかっていた。