Chatterでつぶやかれる内容はさまざまだ。グループ内では雑談に近い会話が出ることもあるが、全く仕事に関係のない発言は少なく、業務に関連する話題が多いとのことだ。「ある人が、『iPhoneアプリケーションの構築セミナーをやります』とつぶやいたら、『私も参加したい』との発言が次々と続き、どんどん参加者が集まったこともある」と冨樫氏は言う。
では、Chatterで置き換える予定だったメッセンジャーはどうなったのか。実はまだメッセンジャーも併用して使っているという。「Chatterはどちらかというとオフィシャルな情報コミュニケーションに利用し、個人間のやりとりはメッセンジャーを利用するといった使い分けができるようになった」と鈴木氏。つまりChatterは、メールとメッセンジャーの中間に位置するコミュニケーションツールになっているという。

Chatterによって新たなレベルのコミュニケーションが生まれたのは間違いなく、そのメリットもすでにいくつか出てきているという。たとえば、通販で新たに販売する商品の企画会議は、従来商品部と販売部だけで行っていたが、Chatterでアイデアを募ることで、部門を超えた社員からの意見も集まるようになったのだ。「Chatterで社内から集まった新商品に対するコメントを、販売サイトの商品紹介ページに実際に表示している」と冨樫氏は言う。
また、Chatterは社長と従業員が直接対話する場にもなっているという。口頭やメールで社長が発言すれば、それを受け取った社員は業務命令ととらえるだろう。しかしこれがChatterであれば、「こういうことをやってみたいね」と社長がつぶやくと、それに対し社員がさまざまなアイデアをつぶやくようになった。また、社員のつぶやきに対して社長が反応することもある。1つの発言に10件くらいのコメントがつくことも珍しくないとのことだ。
Chatter利用のルールは特に設定していない
鈴木氏によると、Chatterの利用に関しては特にルールを設定していないとのことだ。「利用を開始した際にはルールが必要かと考えたこともあるが、ルールがなくてもほぼ問題なく利用できている」と鈴木氏。いまのところは、守秘義務があるような事柄についてはつぶやかない、といった暗黙のルールが機能しているとのことだ。
「これからさらにChatterを使いこなしていきたいので、使い方を制限するような禁止事項は作りたくない。ただ、利用を活性化するようなルールであれば設定するかもしれない」と鈴木氏は言う。一方の冨樫氏は、利用活性化の可能性について、「Chatterは直感的に使えるので特にマニュアルや説明会なども開催していない。しかし、実はさまざまな便利な機能があり、それを使えるのは知っている人だけというのが状況だ。こうした便利な機能をうまく伝えられれば利用活性化につながるかもしれない」と述べている。
ネットプライスでは、Chatterの利用開始以前からSalesforce.comのサービスでワークフローやカスタムオブジェクトを利用した簡易データベース機能などを利用しているが、今後はコールセンター業務のCRMなどにおいてもSalesforce.comの利用を拡大していきたいとしている。現状Chatter上では、人によるつぶやきのみが表示されているが、Salesforce.comの利用が拡大すれば、システムの障害やアラートなどの情報連絡手段としてもChatterを活用していきたいとのことだ。