日本オラクルは12月16日、クラウドに関する説明会を開催し、米Oracle プロダクトマーケティング担当 グループバイスプレジデント Robert Shimp氏が同社のクラウドに対する取り組みと見解を説明した。
Shimp氏は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを比較し、パブリッククラウドは初期投資が少なくて済むものの、長期間運用する場合はプライベートクラウドの方がトータルコストが低いこと、パブリッククラウドは管理をアウトソースできる一方で、プライベートクラウドは自社内で管理が必要だがセキュリティやコンプライアンスが強化できることなどを挙げ、「Oracleとしてはパブリックとプライベートを融合して導入することを薦めている」と話す。
「コアビジネスとなる部分のシステムはプライベートクラウドで運用し、ピーク時など一時的にリソースが必要となる場合にパブリッククラウドでプライベートクラウドのワークロードを補うといったように、柔軟なリソースのやりとりができるようになるのが理想的だろう」(Shimp氏)
Oracleは、パブリッククラウド、プライベートクラウドの両環境を提供できることが強みだとShimp氏は言う。「プライベートクラウドもしくはSaaSとしてOracle Fusion Applicationsを提供できるほか、Oracle Fusion Middlewareおよびデータベース製品、さらにはSun Microsystemsの買収によって手に入れたインフラ製品などでPaaSやIaaSの展開も可能だ。顧客に選択肢を提供する、これがOracleのクラウドコンピューティング戦略だ」とShimp氏。
すでにオーストラリアのCommonwealth Bankでは、PaaSモデルでOracle Databaseを活用し、最大300の中小規模データベース環境を3つのグリッドに統合、サーバ数やソフトウェアライセンス料、ホスティング料の削減で、損益分岐点を1年で達成したという。また、Credit SuisseではOracleのプライベートPaaSを導入、運用コストが35%削減、システム変更などのプロジェクトコストが最大30%削減できたという。
Shimp氏は、現在のクラウド市場について、「多くのユーザーがプライベートクラウドを導入しているが、今後パブリッククラウドやSaaSの利用がより進むだろう。将来はパブリッククラウドの導入率がプライベートクラウドの導入率を上回るかもしれない」と話す。ただし、そうなるまでには時間がかかるとし、まずOracleとしてはプライベートクラウドを推進しているとした。