物流システム事業を展開するダイフクは、富士通と共同で中国における「マテリアルハンドリングシステム」の需要拡大に向けて生産体制を強化するため、ダイフクの中国上海の生産拠点「大福(中国)物流設備有限公司」の生産管理システムを刷新したと発表した。新システムは11月より順次運用を開始している。
大福(中国)物流設備有限公司は、新システムにより、在庫管理、プロジェクト管理、納期管理を徹底するとともに、作業プロセスの可視化により、QCD(Quality Cost Delivery)に徹した、より高品質な製品を提供することが可能になるという。
ダイフクは、生産、流通における構内物流システム構築のためのマテリアルハンドリングシステムの開発から、販売、製造、サポートまでの一貫したサービスを提供しており、売上の50%以上を海外ビジネスが占める。中でも、中国を海外最大の市場と位置づけており、同システムの需要拡大に対応するため、2010年4月に上海に設立した新会社「大福(中国)有限公司」を中核とする新体制のもとでビジネスを強化。生産面では、大福(中国)物流設備有限公司の生産プロセスを見直し、標準化と生産性向上を加速させるためのシステム基盤の整備を検討していたという。
同社は、2010年1月に、大福(中国)有限公司の会計、販売管理、在庫管理システムをSAPに移行した。今回、大福(中国)物流設備有限公司の生産管理システムについてもSAPに刷新することで、システムのガバナンス強化を図る意向だ。これにより、製品ごとに異なる生産プロセスを標準化、見える化し、さらなる生産性向上への取り組みを加速させるという。個々のプロジェクトの進ちょくや収益をリアルタイムに管理し、短納期、コストダウン、仕様要求の変化への柔軟な対応を可能にするとともに、会計、販売管理、在庫管理システムなどと連携させることで、納期や予算を順守したプロジェクトの管理体制を強化していく考えだ。
富士通は、8月1日付で新組織「JOC(Japan Originated Company)アジアビジネス本部」を新設。同組織では、日本の製造、流通業の顧客がアジアにビジネス進出、展開する際に、日本と現地をシームレスにつなぎながら、ソリューションやインフラサービスの提供を行い、ユーザーのアジアビジネス拡大をサポートするものだという。今回の構築にあたっても、新組織およびSAPの専門スキルと中国におけるシステム構築ノウハウをもつ富士通(中国)信息系統有限公司が、大福(中国)物流設備有限公司およびダイフク本社と連携した。これにより、日本の本社からのガバナンスが可能で、中国の商習慣や法規制に対応したシステムを短期間で実現したとしている。ダイフクは、今後、世界各国20の販売、生産拠点の生産システムについても最適化を図り、さらなる生産性向上に取り組んでいくという。