ハイパーバイザでサーバ統合したら、何をすべきか--シマンテックの答え

田中好伸(編集部)

2010-12-24 17:58

 ハイパーバイザでアプリケーションごとに立てていたサーバを統合したら、次は何をすべきだろうか。シマンテックは、その答えの1つとして、アプリケーションの可用性の向上と、ストレージのハンドリングのしやすさを挙げている。同社は12月21日、「VMware」環境下でアプリケーションの可用性を高めるソフト「ApplicationHA」と、同じくVMware環境下でNASサーバを構築するためのクラスタリングソフト「VirtualStore」の説明会を開催した。

 ApplicationHAは、VMware上のWindowsやLinuxといったゲストOSの上で稼働するアプリケーションの可用性を担保するためのものだ。VMwareはハイパーバイザ「VMware vSphere」のコンポーネントとして可用性を高めるための「VMware High Availability(HA)」を提供しているが、ApplicationHAは、VMware HAと連携してシステム全体の可用性を高める。

 具体的には、VMware HAがゲストOSを監視、ApplicationHAがゲストOS上のアプリケーションを監視するという連携策を講じる。アプリケーションに過負荷がかかったり、障害が発生した時には、ApplicationHAがアプリケーションに再起動をかける。場合によっては、ApplicationHAがVMware HAにゲストOSの再起動を依頼するといったこともできる。ApplicationHAの運用管理は、vSphereのツール「vSphere Client」に統合される。

 もともとアプリケーションごとにサーバを立てていたのは、可用性の視点からの安全対策という一面がある。企業内で稼働するサーバ全体の稼働率を高めるためにハイパーバイザでサーバを統合し、システム全体の総所有コスト(TCO)を下げたとしても、エンドユーザーに必要となるアプリケーションの可用性が下がっては元も子もない。

 シマンテックの星野隆義氏(システムエンジニアリング本部シニアマネージャ)は、ApplicationHAのメリットを「VMwareの機能を妨げない」と説明。稼働したまま仮想マシンを別の物理サーバに移動する「vMotion」やIT資源の動的な割り当てとバランシングして、ITインフラを調整する「VMware Distributed Resource Scheduler(DRS)」といった有用な機能の邪魔をしないという。

 「他社製品では、仮想マシンが移動したのをシステム停止と誤認するケースがある。これではかえって可用性を下げることになる」(星野氏)

 一方のVirtualStoreは、ストレージのハンドリングをしやすくするためのものだ。現在、VMware環境に対応するストレージはさまざまなベンダーから提供されているが、その実装や運用、チューニングは「プラットフォームごとに方法論が異なっている」(星野氏)。

 だがユーザー企業の立場でいえば「なるべく標準化された方法論を用いたい」というのが本音だ。また容量の拡張では「サービスの停止と準備に手間がかかる。これも最小のリスクで拡張したい」(星野氏)。ストレージそのものの置き換えも「できるだけサービスを停止させたくないという選択肢だと、ベンダーに縛られることになる」。

 VirtualStoreは、こうした課題に対応する、VMware向けNASサーバを構築するためのクラスタリングソフトだ。VirtualStoreを活用すれば「複数のストレージが1つに見える」(星野氏)という。

 シマンテックのストレージ管理ソフト「Veritas Storage Foundation」の技術を中核にしたVirtualStoreは、主要ベンダーのストレージに対応するとともに、Storage Foundationで実現している「拡張性と信頼性をそのまま継承できる」(星野氏)という。ストレージの「ノード増設時のダウンタイムは数秒、ディスク増設時のダウンタイムはゼロ」(星野氏)とメリットを強調している。VirtualStoreの管理も、vSphere Clientから一括で制御できる。

 現在、クライアントPCの運用管理のしやすさという面から仮想デスクトップ基盤(Virtual Desktop Infrastructure:VDI)が注目されつつある。VDIは、既存のファットPCに比べると運用管理しやすいが、一部の課題として“boot-Storm(ブートストーム)”が認識されるようになっている。

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