その後もより良いナレッジ共有の方法について検討していた同社だが、Salesforce Chatterに行き着いたのは社内研修がきっかけだった。
日テレ アックスオンでは、人材育成のため中堅社員向けに社内研修を実施している。これは、社内での課題を提起し、その解決方法をグループで考えるというもの。単に研修だけで終わるのではなく、実際に解決方法を企画に仕上げ、マネージメント層へのプレゼンテーションを経て採用されることもあるというものだ。
2010年6月に行った研修の中で、あるグループが新たなコミュニケーション手段としてTwitterを提案した。その際、「企業で使うにあたってセキュリティをどうやって確保するか」が課題として残った。その課題を解決するツールとして最終的に提案されたのがChatterだったのだ。
早速社内でChatterの利用希望者150名を募集したところ、2週間で募集枠は埋まってしまい、急遽10名分のアカウントを追加した。Chatterという名称は社内ではわかりにくいため、まずはこの新たなコミュニケーション手段の名称を募集、数多くの応募の中から「AX-ONなう」という名称が選ばれた。そして、研修での提案から2カ月後の8月1日、160名でChatterの利用が始まった。
個人の中に埋もれているナレッジを共有
同社がChatterの利用を開始して数カ月、すでにいくつか効果が出てきているという。Chatterの利用を開始して2週間ほどが経過した頃、ある撮影スタッフが「至急!! 誰か助けて下さい。今、神奈川県と千葉県でひまわり畑を探しています! 良いところありますか?」というつぶやきを投稿した。これに対し、すぐにひまわり畑の情報がChatterに寄せられ、無事撮影場所の確保に至った。
また、スカパー!の3D番組で、絶叫マシンに乗るアイドルの様子を3Dカメラで撮影する「3D THE 絶叫アイドル!!」という番組の企画においても、Chatterにて各地の絶叫マシンの情報が収集できたという。この時も、時間や場所を問わずに情報が集まるChatterならではのさまざまなネタが集まり、迅速に企画に反映されたとのことだ。
「Chatterがない頃には、せいぜい自分の知っている30人程度の中から、ネタを持っていそうな人に尋ねていた。そのネタに詳しい人が隣の部署にいたとしても、その人を知らなければ聞くことができなかった」と有馬氏。それが今では、Chatterでつぶやくだけで知らない人からも有用な情報が集まってくるのだ。