日テレ アックスオンのような企業の価値は、「良い映像コンテンツを制作することはもちろんだが、その映像を作るために集めた豊富な情報を持っていることだ」と有馬氏は言う。映像ができあがれば、その映像と関連情報はデータベース化される。しかし、映像ができる前に調べたさまざまな情報はデータベース化されるわけではない。さらに、映像化されないままお蔵入りとなる企画もあり、その企画のためにも膨大な情報を収集しているはずだ。
多くの場合これらの情報は、担当した人間のノウハウとして蓄積されている。担当者をよく知っていれば、その人から情報を引き出すことができるかもしれないが、多くの場合はその人がどんな情報を持っているかはわからない。そのため、人材情報の逆引き辞典のようなものができれば当然有用なナレッジ共有ツールとなるだろう。
しかし、社員全員のナレッジをすべて登録することは難しく、情報を常にアップデートし続けるのも大変だ。それがChatterであれば、人と人をつぶやきという方法で緩やかにつなぐことで、有機的な逆引き辞典の機能が実現する。「我々のような業界には、Chatterのような情報共有の仕組みが合っている。『ニーズを カタチに』というわが社の企業理念を実現するのにぴったりのツールだ」と有馬氏は話す。
PCに向かっていても人と会話ができる
現在多くの企業の職場では、仕事中PCにだけ向かって作業をする社員が多い。しかし、そこにChatterが加われば、PCに向かってはいても社内の多くの人とリアルタイムに会話ができ、情報共有が可能となる。社長の小杉氏は、Chatterのことを「気持ちを形にできるツールだ」としている。
同社のChatter利用にあたっては、「いつでもどこでも情報交換しよう」「仕事に役立つ情報を共有しよう」という2つの目的が設定されており、利用を活性化するためのガイドラインがあるだけだ。あとは、著作権が絡むような情報発信には注意するといった基本的な情報発信マナー以外、厳しい禁止事項などは挙げられていない。これで、今は1日に30件ほどのつぶやきが投稿されているとのことだ。
「最終的には、全社員にChatterを利用してもらいたいと考えている。そのためにも、まずは現在利用している160名により活発にChatterを使って情報交換してほしい」と有馬氏は言う。
さらなる活性化が進めば、より多くの効果も出てくるだろう。現状は、参加者全員が相互にフォローする形をとっているが、今後はグループ機能などを活用し、新たなコミュニケーション手段も試していきたいとのことだ。
※編集部注: この取材は、セールスフォース・ドットコムがChatterの無料化を発表する前に行われました。