Bundleの提供する「Restaurant Recommender」
さて、1年近く前にMicrosoftとCitiが立ち上げた「Bundle」というPFMツールを紹介したことがある。Bundleも支出を分類したり、予算管理をしたりというあたりは、Wells FargoのMy Money Mapをはじめとする、ほかのPFMツールと同様であるが、大きな特徴はCitiカードのデータに基づく統計データとの比較などを行えることにある。そして今回加わったのが「Restaurant Recommender」という機能なのである。
現在はまだNYとLAのみであるが、探したいレストランの名前を入れて検索すると、そのレストランに関するロイヤルティスコアと、そのレストランを利用したことのある人が使った、ほかのレストランの情報がリストされる。この最大のポイントは、実際のカード利用データに基づいているので、極めて定量的に弾き出された結果であるということだ。
特にロイヤルティスコアは、その利用者の外食に支出した総額のうち、そのレストランにどれだけを使ったかによって算出されるので、エモーショナルな部分を排除した金銭的ロイヤルティが弾き出されることとなる。「NetBanker」の記事では、Bundleと「Yelp」(レストランレビューサイト)がAPIで連携すれば面白いのにと言っているが、そうすれば定性的な評価と定量的な評価が組み合わさって有意義な情報となるに違いない。
貯蓄よりも飯、そして体重
日々の生活におけるプライオリティからすると、やっぱりお金の管理よりも今夜のレストランの方が気になるし、食べ過ぎると次は体重が気になる。お金は足りなくなってから、初めてやばいと気付くくらいのものである。
そう考えると、あまりモチベーションのわかないお金の管理を正面に据えるよりも、Restaurant Recommenderのように、消費者の日々の関心事に中心を据えたツールを提供し、結果的にお金の管理にも繋げるという方法を取るほうが良いのかもしれない。
電子マネーの普及にも見られたように、金融サービスも消費者の目線に立った利便性を第一義に考えることが重要で、必ずしも合理的判断のみで物事が進むものではないことを理解する必要がありそうだ。
さて、お金より飯ということで、今年は新年早々より恵比寿のバー「風花」で「New Year Exhibition」開催中です。お近くにお越しの際はお立ち寄り下さい。1月31日までです。詳細はこちらまで。
筆者紹介
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。