IT部門はBPMでビジネスにさらに貢献できる--三菱商事ユニメタルズ - (page 4)

柴田克己(編集部)

2011-01-26 10:26

ビジネスとITをつなぐBPMで会社の成長戦略に貢献

 こうした事案は、何も今回の大阪支社に限ったことではないという。国内での需要は頭打ちの状態にあるものの、今後、中国や東南アジアに取引先が拡大していく中で、同様の問題が起きかねない取引は複数存在しているとする。

 「ITシステムの活用なしにビジネス拡大は無理」という認識は社内に共通しているものの、ビジネス現場には依然として、業務プロセスが属人的に管理されたり、場当たり対応になりがちといった課題が存在している。詳細な業務プロセスが属人化してしまうと、改善を検討するための可視化された資料が作成されない。結果的に、そのノウハウは会社の資産にはならない。大三川氏は「そうした仕事の仕方では、成長の波に乗れない」と言い切る。

 さらに、「内部統制」を主眼に行われる業務プロセスの可視化は、必ずしも「営業実務」の観点で役に立つわけではないとし、その違いを指摘した。

 「内部統制を主眼に行われる可視化と、営業実務の改善に役立つ可視化では、観点や業務を記述する粒度が異なる。内部統制を目的とした文書化では、業務プロセスに不正やミスが入り込まず、最終的に正しい財務諸表が作れることがゴールになっている。そのため、分析レベルが粗くなる一方で、ある程度の業務知識で対応できるものになる。一方、営業実務の観点で、顧客満足度や業務効率をアップすることを主眼においた可視化では、プロセス処理のタイミングなど、実務レベルでの細かい分析が必要で、専門家の支援が必要になる」(大三川氏)

 企業が成長戦略を実現して行くためには、こうしたビジネス現場の細かいプロセスを見渡した上で、具体的な業務行動を管理し、PDCAサイクルを回していく必要があると大三川氏は指摘する。経営指標などの「数字」のマネジメントに加え、「ビジネスプロセス」をマネジメントし、洗練していくことが必要になるというわけだ。

 情報システム部門は、このBPMの過程において「ビジネスとITをつなぐ」ことで会社の成長戦略により貢献できると大三川氏は言う。また、そのためには体系的な知識と具体的なスキルをセミナーやトレーニングで習得し、スキルを「OMG認定BPMエキスパート資格試験プログラム(OCEB)」といった資格などで証明するといった方法も効果的であるという。

 大三川氏は、今後の情報システム部門に求められる人材像として「積極的にビジネスの領域に踏み込み、現場に出ることでビジネス部門とIT部門の密な連携を作ることができる人」を挙げる。

 「業務を理論的に理解し、業務量、所用時間を理解し、どこにボトルネックがあるかを指摘するなど、ビジネスを構造的に語るノウハウを持つことで、情報システム部門の企業への貢献度を大きく上げることができる」(大三川氏)

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