あるわたしの顧客は最近、一般に流通している商用ソフトウェアでは満たせないニーズを抱えていた。いや、正確に言えば、ニーズを満たすソフトウェアは数多くあったのだが、その顧客の予算では手が届かなかったのだ。そこでわたしは、オープンソースソフトウェアの賛同者なら誰でもすることをした。つまり、同氏に無料オープンソースソフトウェア(FOSS)の世界を紹介したのだ。同氏は品質が高いだけでなく、費用対効果も非常に高いソフトウェアが数多くあるのに驚いていた。
その時のやりとりは、オープンソースが抱える最大の障害は、互換性でも、しっかりしたコードが欠けていることでもなく、認知不足だということを再確認させてくれた。今いるWindowsユーザーの大半は、素晴らしいソフトウェアが欲しければ、金銭を支払わなければならないと思っている。そこでわたしは、Windowsで動くオープンソースプロジェクトを紹介し、読者が知り合いのWindowsユーザーに、それらのツールを使ってオープンソースという言葉を広めるのを助けることにした。
では、それらのソフトウェアを紹介していこう。
1.LibreOffice:これは(名前が新しくなったことを除けば)言わずもがなだろう。もしMicrosoft Officeの代わりを探しているのなら、LibreOfficeで決まりだ。これはOpenOfficeから派生したソフトウェアだが、バージョン3.xからの派生となっているため、しっかりしたコードベースに基づいたものになっている。このソフトウェアは、オープンソースに賛同している者なら必携だ。「ベータ版」とされているが、心配する必要はない。多くのユーザーは(わたしも含めて)、既にこれを実際の現場で使っている。
2.Scribus:もしマーケティング資料、マニュアル、書籍、広告などを作るためにDTPソフトを探しているのなら、Scribusさえあればいい。Scribusは、市販のDTPソフト(PageMakerやQuarkXPress)ができることは、ほぼすべてできるだけでなく、より使いやすいインターフェースを備えており、ライバルほどリソースを必要としない。
3.GIMP:ビットマップ画像編集ソフトが必要なら、GIMPだ。GIMPはPhotoshopと同じくらい強力で、700ドルほど安い。もしGIMPの今のインターフェースが気に入らないなら、3月まで待てば、新しいシングルウィンドウ式のインターフェースに変わる見通しだ。新しいインターフェースがどう変わるかについては、GIMP Brainstormのページを参照してみるといい。
4.Inkscape:GIMPがビットマップ編集ソフトなのに対し、Inkscapeはベクター画像編集ソフトだ。もちろん、ベクター画像で作業したことがある人なら、ビットマップを扱うよりもずっと難しいことを知っているだろうが、Inkscapeはそのプロセスを非常に簡単なものにしてくれている。
5.GnuCash:GnuCashは、Linuxでは会計ソフトのデファクト標準になっている。GnuCashは機能、使いやすさ、信頼性に優れている。わたしはこのソフトを何年も使っているが、一度も問題が起きたことはない。GnuCashは帳簿処理、複式簿記、小規模企業の会計処理、ベンダー・顧客・業務別会計、株式・債権・投資信託勘定科目など、さまざまな機能を持っている。
6.VLC:Video Lanは、ほとんど何でも再生できるマルチメディアプレーヤーだ。実際、VLCは「あらゆるものを再生できる」と謳っている。わたしはその主張は正しいと保証できる。わたしは、VLCが扱えないマルチメディアフォーマットをまだ見たことがない。クラッシュしやすく、必要なリソースも多いWindows Media Playerから、軽量で信頼性が高く、一体型のマルチメディアプレーヤーであるVLCに移行すべきだ。