アビームコンサルティングは、情報分析、活用を支援してビジネスの成果につなげるビジネスインテリジェンス(BI)サービス「ABeam BI」シリーズを強化、拡充すると発表した。第1弾として基幹系システムに蓄積された情報分析と活用支援に特化した「情報活用促進サービス」を2月18日から提供する。
今回の情報活用促進サービスは、企業が抱えるデータの分析業務をアビームが代行して、分析テーマに基づいた知見や洞察を提供するサービスになる。サービスの提供形態としてはアウトソース型とインソース型の2通り。アウトソース型は、企業のデータをアビームに提供してアビーム内部で分析、そこから得られた知見を企業に送る。一方のインソース型は、データの外部持ち出しを制限されている企業向けに、アビームのコンサルタントが企業に常駐して分析する。
同社執行役員の秋山紀郎氏(プリンシパル CRMセクター長 プロセス&テクノロジー事業部)は情報活用促進サービスについて「コンサルティング会社がもたらす付加価値がある」と説明する。具体的に顧客企業の業務を知っているコンサルタントが仮説を立てて、データを分析することでより付加価値の高い結果を提供できるとしている。このことは、顧客企業と一体となった協調モデルで、業務の課題解決に直結するデータを分析することにもなる。秋山氏は「データを外部に持ち出すのは、顧客企業との信頼関係がないといけない」と、今回のサービスが同社ならではのものであることを強調している。
データ分析では、BIツールやデータが蓄積されるデータウェアハウス(DWH)が必要だが、今回の情報活用促進サービスは、「BIの仕組みがなくても利用できる」(秋山氏)ものだという。統合基幹業務システム(ERP)や顧客情報管理システム(CRM)などの基幹系システムから必要なデータを抜き出して分析する。
情報活用促進サービスは、経営管理、CRM、SCMという主に3つの領域で分析メニューを用意している。経営管理領域は、業績予測管理や投資効果分析など。CRM領域では、顧客ニーズ分析による商品企画、売価最適化、営業活動最適化、行動履歴分析によるリピート率向上などだ。SCM領域は、需要予測による生販在計画最適化、原材料の在庫カルテ、商品の収益性分析による終売商品選定などのメニューを用意している。
CRM領域の営業活動最適化は、営業担当者の実績や日報から行動パターンを解析して、成績のいい営業担当者の行動モデルを策定するなどのサービスを提供する。コンサルタント2人、提供期間1.5カ月の場合、費用は500万円からとなっている。売価最適化では、競合他社のウェブサイトに掲載されている情報などから、顧客企業の商品と売価の相対評価を測定する。コンサルタント1人で取り組み、期間は2カ月から。費用は700万円から。
SCM領域の需要予測による生販在計画最適化では、属人的な経験で需要計画を推進している企業に対して、需要実績にベースにした統計的需要予測手法を適用した場合の精度を定量化する。コンサルタント2人で期間は1.5カ月。費用は300万円から。原材料の在庫カルテでは、代替性や仕入れリスク、調達リードタイムなど原材料に関連するリスクに応じて、原材料別の在庫管理方式や在庫レベルを設定することが目的だ。コンサルタント2人、期間が2カ月の場合、費用は400万円から。
今回の情報活用促進サービスは、分析業務のスコープに応じた作業工数による料金のほかに、成果に応じた成果報酬でも利用できる。顧客のニーズに対応するために料金体系自体も多様性をもたせたと説明している。
今回、拡充されたABeam BIシリーズの売上高は2010年度で10億円と同社執行役員の山田裕一氏(プリンシパル コーポレート戦略統括兼人事グループ統括)が説明する。情報活用促進サービスを「さらに強化することで、2012年度に50億円の売り上げを見込んでいる」としている。