アイ・ティ・アール(ITR)は2月23日、ERPおよび連結会計製品の国内58社のソフトウェアベンダーの製品調査を行い、国内市場規模および動向を「ITR Market View:ERP市場2011」としてまとめた。合わせて、ERP市場全体、中堅企業向けERP市場の市場規模推移、および中堅企業向けERP市場のベンダーシェアを発表した。
同調査によれば、2009年度の国内ERP市場全体の出荷金額は約835億円になったという。これは、前年比で6.2%減の結果だ。ITRでは、景気後退によるIT投資の削減が影響して、2008年度に続いて2年連続のマイナス成長となったが、2010年度は国内景気が徐々に回復傾向にあることから、前年比8.8%増に拡大すると予測している。
また、中堅企業向けERP市場は、2008年度までは堅調な成長を維持してきたが、2009年度の出荷金額は370億4000万円(前年比2.3%減)とマイナス成長に転じた。同市場の2010年度は、IT投資の拡大に伴って回復し、前年比7.9%増、399億7000万円となると予測している。
2009年度の中堅企業向けERP市場のベンダーシェアでは、オービックが豊富な業種別パッケージと全国的な販売網を強みに安定した出荷金額を維持し、23.1%のシェアを占めたという。2位には、従来製品に加え、富士通から製品(GLOVIA smart)が移管されたことにより、富士通マーケティングが浮上している。
ITRのプリンシパル・アナリストである浅利浩一氏は、「中堅企業向けERP市場は、レガシー化している基幹系業務システム全体のリプレースや、部分的に導入されたパッケージを刷新するといった案件によって成長が期待できる。しかし今後は、これまでのベンダー、製品の勢力図に大きな変革が生ずる可能性も見えてきている。比較的規模の大きな中堅企業は、大企業と変わらない業務の複雑性を内在している場合が多く、子会社や取引先、およびグローバル対応を含めたシステム化、そしてIFRS対応へのニーズに対して、どこまでベンダーが応えられるかが問われてくるだろう」とコメントしている。