誰もがクラウドに移行しようとしている。クラウドは大流行だ。IT関係の議論で、「クラウド」について触れずにすむ議論はほとんどない。しかし、要するにクラウドとは、「どこか」のデータセンターで情報をホストするシステム以上のものではない。
バックアップやOSのメンテナンス、物理的なセキュリティは当然のこととして、その上にインフラ開発や自動フェイルオーバーエンジニアリングを行い、複数の電源まで用意する必要があるデータセンター運営を、サードパーティーのデータセンターに任せることの利点を、多くの組織は理解している。これが、「クラウドへの移行」が理にかなっている根本的な理由だ。
残念ながら、すべてのデータセンターが満足できる水準にあるわけではない。一部のデータセンターは、クラウド競争の中で最近急に作られたものだ。以下で説明する10の基準を使って、自分の組織で使っているデータセンターが、その任に足るものであるか、検証してみて欲しい。
1.回線容量
データセンターは通常、非常に高いデータ送信能力を持つように作られている。一部のデータセンターは、OCxやSONETによる接続を複数持っており、Amazon.comのようなウェブサイトの要求さえさばくことができる。より規模の小さいところでは、冗長性のあるT3接続でやりくりしようとしている場合もある。データ送信容量の増加を適切に見通せず、素早く規模拡大に対応できないデータセンタープロバイダーは、選ぶべきではない。
2.冗長性のある電源構成
多くのデータセンターには電源のバックアップがある。つまり、UPSのことだ。もし自分の組織がビジネス上絶対に落とすことのできないシステムを抱えているのであれば、二次電源への接続を持つデータセンターを選ぶべきだ。電源の大事故に対応するには、二次電源へのN+1電源のグリッド接続を用意するしかない。
3.バックアップインターネット接続
質の高いデータセンターなら、二次的な電源を用意するのと同時に、二重および三重のインターネット接続も用意していなくてはならない。埋設ケーブルは切断されることがある。架空ケーブルはトラックが支柱にぶつかれば切れてしまう。通信ベンダーのネットワーク全体が落ちてしまうこともある。一時的な切断を避けるには、フルメッシュバックボーンを持つ複数のティア1インターネット接続プロバイダ回線がなければならない。
4.自動ハードウェアフェイルオーバー
電源やインターネット、冷暖房システムの冗長性は素晴らしいことだが、ホットスペアに切り替わるように準備されていなければ、ダウンタイムが生じる可能性は消えない。トラブルが生じた際に自動的にフェイルオーバーする、冗長なオンラインスイッチ、ルータ、UPS、空調機器を備えていることは、データセンターにとって絶対に必要だ。
5.出入管理
物理的なセキュリティの重要性を軽視することはできない。1人の情緒不安定な人物が、稼働中の重要なデータセンターに大型車を突っ込ませるだけで、商業が大きな影響を受ける可能性もある。これが、データセンター周辺に適切な警備が重要な理由だ。物理的なアクセスコントロール(鍵、認証カード、生体認証デバイスなど)に加え、誰かがデータセンターへのアクセスを得る場合には、(さらなる出入管理、鍵、ケージ、部屋などによって)個々の専用スペースの安全が保たれるようになっていなければならない。