IDC Japanは3月7日、2010年通年の国内サーバ市場動向を発表した。これによると、2010年の国内サーバ市場規模は、前年から6.7%縮小し、4487億円となった。また、出荷台数は、前年から6.4%増加の55万台。IDCでは、縮小傾向を示したものの、2001年以降で最大のマイナス成長を記録した2009年に比べ、小幅なマイナス成長に落ち着いたと説明している。
ベンダー別では、メインフレームとx86サーバが好調だった富士通が4年連続で首位を獲得したという。同社のメインフレームは、多数の大型案件でプラス成長となった前年の反動からマイナス成長となったが、2010年も金融業向けに複数の大型案件があり、小幅な落ち込みにとどまったという。また、x86サーバでは、同社として2000年以降で最高となる20.3%の出荷台数シェアを獲得した。
前年2位のNECを制して、今回2位を獲得したIBMは、前年まで5年連続のマイナス成長だったが、2010年はプラス成長となった。x86サーバとRISCサーバの出荷金額が、2桁のプラス成長。また、メインフレームは、金融業を中心に多数の大型案件があったという。国内メインフレーム市場におけるIBMのシェアは、2000年以降で、同社のシェアとして最高となる31.2%を獲得している。
3位はNEC。同社のx86サーバは、前年並みの結果だったが、他の製品分野が振るわなかった。4位のヒューレット・パッカード(HP)は、x86サーバとIA64サーバが好調で、5年ぶりのプラス成長となった。5位の日立製作所(日立)は、前年にあったメインフレームとRISCサーバの大型案件の反動から2桁のマイナス成長となった。一方、出荷台数では、3年連続でNECが1位を獲得した。2位は、NECと1.2ポイント差のHP。以下は、富士通、デル、IBMと続き、前年と同じ順位となった。
また今回、IDC Japanは、2010年第4四半期(10~12月)の国内サーバ市場動向も発表した。これによると、2010年第4四半期のサーバ市場規模は1022億円で、前年同期から7.0%減少したという。ベンダー別では、前期の富士通と入れ替わり、IBMが首位を獲得。メインフレームは、金融業、公共、製造業向けに大型案件があった。RISCサーバは、金融業向けの出荷が好調で、x86サーバは、情報サービス業と金融業向けにまとまった案件が多数あったという。2位以降は順に、富士通、NEC、HP、日立となった。なお、上位5社で、前年同期から出荷金額を増やしたのは、IBM、HP、日立の3社だった。
IDC Japan、サーバーリサーチマネージャーの都築裕之氏は、「2010年の国内サーバ市場は、景気後退の影響が残ったものの、x86サーバが3年ぶりのプラス成長で、回復基調を示した。特に、情報サービス業向けにx86サーバの出荷が好調だった。携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、インターネットビジネスのサーバ投資が際立っている」とコメントしている。