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OpenOfficeにも縛られない--会津若松市がLibreOfficeの試用を開始

冨田秀継 (編集部)

2011-03-28 18:32

 福島県の会津若松市がフリーのオフィススイート「LibreOffice」の試用を開始した。

 市は2008年10月に文書の公式フォーマットとして「OpenDocument Format(ODF)」の採用を決定し、約840台(当時)のPCで「OpenOffice.org」を利用していた。市の公式サイトでは「オープンオフィスとODF形式文書を導入しています」と題するコーナーを開設し、導入マニュアルなどの配布を通じて啓発活動を推進中だ。

 会津若松市役所 総務部 情報政策課の目黒純氏は、ZDNet Japanの電話インタビューに対し「Microsoft Officeと同じように、OpenOffice.orgを導入した当初からこれだけに依存しないことを念頭に置いていた。それがはじめて形になった」と説明した。

 市ではLibreOfficeの試用を開始したとはいえ、OpenOffice.orgから丸ごと移行したわけではない。職員にLibreOfficeを試用してもらえる体制を整えたという段階で、庁内のイントラネットにファイルを置き、職員がいつでも使えるようにしているのだという。

OpenOffice.orgからLibreOfficeへ

 OpenOffice.orgの歴史はSun Microsystemsとともにあった。Sunが2000年にStarOfficeのソースコードを公開しOpenOffice.orgプロジェクトが発足、フリーのオフィススイートの本格的な開発が始まったのだ。

 しかし、2009年4月20日、プロジェクトを支援し続けたSun MicrosystemsがOracleに買収されてしまう。当時はOpenOffice.orgの行方について世界的に議論が交わされたものだ。もちろん、MySQLも議論の対象となったが、本稿が取り扱う範囲ではないため、当時の記事をいくつか列挙するに留める。

 なお、MySQLのフォーク「MariaDB」や、特にコミュニティともめた「Open Solaris」に関する当時の状況は、海上忍氏によるbuilderブログが詳しい。

 本稿の主役、OpenOffice.orgは買収を楽観的に受け止めていたが、2010年9月にはオラクルから独立して「The Document Foundation」を設立するに至った。ベータ版ではあったが、LibreOfficeが誕生した瞬間だった。

ツールに縛られず、市民の負担を軽減したい

 会津若松市の取り組みで注目するべきは、OpenOffice.orgというツールの採用ではなく、ODFというフォーマットの採用だ。ツールに縛られれば、そのツールの継続性によって自治体や企業の運営が左右されてしまう。

 前出の目黒氏は「OpenDocumentに運用を移行させたそもそもの理由として、1種類のオフィスソフトに縛られないようにするという考えがあった。これまではOpenOffice.orgを使ってきたが、(ODF対応ツールとして)もう1つの選択肢(LibreOffice)を考えておくことが運用継続性の強化につながるからだ」と述べている。

 ODFの採用には、運用継続性の強化という内側の理論だけでなく、市民サービスの強化という側面もある。

 「各種申請様式などを公式サイトで公開するとき、従来は民間製品のファイル形式で掲載していた。それが暗に(特定の)民間製品の購入を勧めるようなかたちになっていた。(ODFの採用によって)市民の負担を解消していきたいと考えている」(目黒氏)

 なお、ODFとOOXMLの両陣営で激しい議論が交わされたこともあるが、現在は主要オフィスソフトの多くがODFの入力と出力に対応している。

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