セキュリティはクラウドで強化される

田中好伸 (編集部)

2011-04-14 21:05

 有効な手段であることは分かっているのだが、なんとなく漠然と不安を感じてしまう…。まして、それが会社のシステムとなると、なおのこと不安になり、夜も眠れない――。

 クラウドコンピューティングをどう活用すべきか、という問題を考えた時にそうした不安を感じるのではないだろうか? トレンドマイクロが名古屋・大阪・東京で開催するセミナー「セキュリティをSaaSで利用する価値とは~『リスク』『運用』『コスト』の今を比較~」で講演する、アイ・ティ・アール(ITR)でシニアアナリストを務める舘野真人氏に、クラウドとセキュリティをどう考えるべきか聞いた。

クラウドはセキュリティを強化する武器に

「クラウドというのは、ネット越しにアプリケーションを使うわけですから、セキュリティを心配するのは不思議なことではない」

 舘野氏は、現在のクラウドに対してセキュリティ上の不安を抱えるのは当然の見方とする一方、「クラウドでセキュリティを強化する」という動きがあることを示す。「クラウドのセキュリティに不安を感じるのはムリもないですが、その不安を払拭するために、クラウドでセキュリティを強化するという動きが、今の大きなトレンドになりつつあります」と説明している。

 事実、ITRの調査によると、クラウド利用時のセキュリティ課題を克服するための取り組みとして「セキュリティサービスを利用する」が3位となっている。1位の「信頼できる事業者のサービスを検討する」と、2位の「リスクの低い領域からクラウド化」に続いて3位である。1位と2位がよく考えられた取り組みであることを考えると、クラウド上の不安を払拭する手段として「セキュリティサービスを利用する」のも現実的な対応策だと言えるだろう。

 クラウドを利用してセキュリティを強化する取り組みは、すでに動き始めている。ITRが中心となって昨夏実施した調査では、すでにセキュリティSaaSを利用している企業の比率は15%だ。今後「3年以内のスパンで検討中」を加えると約35%がセキュリティSaaSに前向きな姿勢を見せていることが明らかになっている。

 2010年は巷で「クラウド元年」と呼ばれるほど、日本国内外からさまざまなクラウドサービスが市場に投入され、その事象がクラウドに対する考え方を変えたのかもしれない。昨夏の調査で、パブリッククラウドに対して具体的な取り組みを実施している企業が41%となっており、前年の29.1%から大きく拡大していることが判明している。その調査結果から舘野氏は「中堅企業や中小企業が前向きに取り組んでいることも分かっている」と語る。

 パブリッククラウドの利用用途としては1位がメール、2位が情報共有・ポータル、3位がスケジュール共有――という結果になっている。「いずれもグループウェアの領域に属するものが上位を占めている」(舘野氏)。メールとスケジュール共有は前年よりも大幅に拡大していることも興味深い動きと指摘できるだろう。

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