(2)の管理性向上とは、サーバレスの環境が実現するとともに、複数の拠点も一元的にサポートできるというメリット。(3)のコスト削減は、改めて言うまでもないだろう。初期費用を削減できるとともに、(サービスの料金体系にもよるが、一般的には)エンドユーザー数の変動にあわせてコストを変えられるというのが、クラウドのメリットであることは、誰の目にも明らかだ。
(4)のスケーラビリティ向上とは、簡単に言ってしまえば「ピーク時にあわせてシステムを用意する必要がない」(舘野氏)ということだ。ピークが来たら、その分だけ購入すればいいだけの話だ。これは「マルチテナンシーによる冗長性を確保する」(舘野氏)ということでもある。
求められる管理の効率性
現在のセキュリティSaaSについて舘野氏は、エンドポイントセキュリティ、スパム対策を中心としたメールセキュリティ、URLフィルタリングを中心としたウェブセキュリティという3つが一般化しつつあるとみている。ただ「現状、これらはすべて“単品”で販売されている」(舘野氏)という。
現時点からみて、セキュリティSaaSは“ハイブリッド”になるとの見方を舘野氏は示している。というのは「SaaSはマルチテナンシーだから、きめ細かなポリシーをかけにくい」(舘野氏)。そのため、たとえば「本社はオンプレミスで支社や支店はクラウド」といったハイブリッドになっていくのが、セキュリティSaaSの一つの道になるとしている。
そのハイブリッドスタイルから見えてくるのが、オンプレミスとクラウド、それらすべてを一括して管理したいという課題だ。つまり管理の効率性が求められているのである。現状のセキュリティSaaSでも、たとえばエンドポイントとメール、ウェブの3つがあるが、これらを一括管理したいという点でも管理の効率性が問われると舘野氏は説明する。この管理の効率性は、「今何が起きているのか、今の状況を把握したい」という点から見ても、単一の管理画面であることが何より重要だ。
「ベンダーごとの機能的な差はなくなってきている。重要なのは管理しやすいかどうか」(舘野氏)
管理の効率性という点では、現状の3つでもサービス同士を組み合わせて管理したいという要望もある。こうした点からも管理の効率性が問われているのである。
舘野氏は、トレンドマイクロが開催するセミナー「セキュリティをSaaSで運用する価値とは~『リスク』『運用』『コスト』の今を比較~」の中で、「アナリストが語る、SaaS時代の情報セキュリティ対策」というテーマで講演する。クラウドとセキュリティについての参考になる意見がきっと得られるはずだ。
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