(2)イメージファイルのバックアップ
サーバ仮想化がもたらすメリットは数多くあるが、技術的なメリットのひとつが“カプセル化”と言われている。
カプセル化は、仮想マシン(OSイメージ、データボリューム、これらの構成情報)をファイルとしてハイパーバイザが管理することである。つまり、これらのファイルをバックアップ、そしてリストアすれば、仮想マシン全体のリカバリが行え、運用をシンプルにできる。
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また、イメージファイルのバックアップでは、Windowsが提供するVSS(Volume Shadow copy Service)のフレームワークを使用することでスナップショット技術も日々進化しており、OSはもちろん、一部のデータベースまで対応している。
たとえば、シマンテックのVSSを使用するとバックアップだけではなく、データベースのログの削除など、長期運用に必要となる機能も提供されている。代表的な例としては、「SQL Server」「 Exchange Server」などがあげられる。
メリット
- バックアップソフトウェアのインストールや保守が不要
- 仮想マシンへの影響を最小化
- 個別ファイルの検索、リストア
- 高速かつ効率的な増分バックアップ
- スナップショットと連携した整合性のあるバックアップ
※3と4あるいは5は、バックアップソフトウェアによって対応がわかれるので事前にご確認いただきたい
デメリット(注意点)
- トランザクションレベルでのデータベースのバックアップ
仮想マシンにエージェントか、イメージバックアップか
今日の利用環境を前提とすると、イメージバックアップによるデータ保護を優先手法として検討することが望ましいといえる。
残念ながら、スナップショットの観点では、全ての仮想マシンやゲストOS、アプリケーションに適用できるわけではないが、仮想マシン内にバックアップソフトウェアのエージェントを入れるのは、第2の候補として、イメージバックアップを補完する位置付けにすると考えやすいかもしれない。スナップショットの技術は、日々進化しており、対応アプリケーションやプラットフォームは今後も増えることが予想され、イメージバックアップへの統合が行える環境になっていくと考えられている。
イメージバックアップは、サーバ仮想化の普及によって新たに提供された手法であり、導入には二の足を踏むユーザーもいるかもしれない。ただし、従来の物理環境での手法では、複雑性を排除できず、仮想化ならではのメリットが享受できないばかりか、時には統合効率の向上を抑制してしまう事態につながる場合もある。効率的なサーバ仮想化環境を構築し、同時に柔軟でシンプルなデータ保護戦略を実現するには、イメージバックアップが提供する方式が与えるメリットは大きいといえる。
もちろん、スナップショットだけでなく、イメージファイルから個別のファイルやオブジェクト単位のリカバリがサポートされていることが前提だ。リカバリ要件に応じて、イメージファイル、個別ファイルそれぞれを別々にバックアップするのは生産性を伴わない大きなムダとなってしまう。
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