クラウド環境におけるベストプラクティス
物理サーバの設置、ソフトウェア導入、サービス提供といった時間とプロセスを経た従来の企業内システムであれば、プロセスの一部にバックアップ手法の検討や導入も一緒に行われていただろう。ただし、サーバ仮想化をベースとしたサービス志向のクラウド環境では、スピードの勝負であるとともに、ユーザー主体の利用にポイントは移っている。クラウド運営者やIaaSベンダーは、バックアップを含めたインフラの運用に責任を持つ中で、いかに効率よく管理できるかが重要なポイントである。
4月に日本語版をリリースした「Symantec NetBackup 7.1」では「仮想マシンインテリジェントポリシー」という仮想マシンの自動検出、バックアップ、必要に応じてロードバランシングまで実現する機能を搭載している。
運用はいたってシンプルだ。まずNetBackupでバックアップ方法を指定するポリシーを定義する。これは従来通りだ。次に、どのようなルールで仮想マシンの検出や、このポリシーに適用するかの条件を指定する。たとえば、Financeで始まる仮想マシン全て、あるいはWindows Server 2008 R2というOSに対して、などである。この条件が満たされた仮想マシンが検出されると次回以降、自動的にバックアップが取得される。
これはクラウド環境において求められる自動化を支援する大きな一歩となるが、このままでは、まだ万全ではない。仮想マシンの配置条件によっては、複数のハイパーバイザで動作している仮想マシンが均等に分散しているとは言えないからだ。バックアップを取得した結果、特定のハイパーバイザへ負荷が集中し、全体のパフォーマンス低下を招くと本末転倒である。
そこで、バックアップを取得する前に全体の負荷分散を行うことによりバックアップ、そしてシステム全体の最適化を行うことまでが実現できる。管理者の手動管理の限界を超え、ますます大型化が進むデータセンターでのデータ保護は、このような高度な自動化が必要とされる状況にまできているとも言える。
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石井明(いしい あきら)
株式会社シマンテック
プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ
大規模環境向けバックアップおよびアーカイビングを専門とする。担当製品は主に「Symantec NetBackup」と「Symantec Enterprise Vault」。両製品を市場・ユーザーに向けてより一層訴求することに注力していく。
編集:田中好伸
Twitterアカウント:@tanakayoshinobu
青森生まれ。学生時代から出版に携わり、入社前は大手ビジネス誌で編集者を務めていた。2005年に現在の朝日インタラクティブに入社し、ユーザー事例、IFRS(国際会計基準)、セキュリティなどを担当。現在は、データウェアハウス、クラウド関連技術に関心がある。社内では“編集部一の職人”としての顔も。