クラウドストレージを利用したバックアップシステムの通常運用中に、個別ファイルをリカバリするのであれば、オペレーションに大きな差はないだろう。ただ、システム全体のリカバリが必要となる災害が発生した場合も十分に考慮していただきたい。
オンプレミスにハードウェアを用意し、フルリストアすることもシナリオにはあるだろう。あるいは、クラウドストレージから、クラウドコンピューティング環境へリストアするシナリオも出てくるだろう。この場合、仮想から仮想、あるいは物理環境でバックアップして、リカバリは仮想化へ、ということもシナリオに加えておくべきだろう。
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プライベートクラウドでのバックアップ
部門システムごとに別々のバックアップシステムを構築してきた大企業ユーザーも、コスト削減やサービスレベル向上という課題に対応するため、積極的に“統合”に向けたアプローチを取っている。国内ユーザーでは、従来本格的な統合が進まなかったといわれることもあるが、サーバ仮想化の普及によって、インフラ統合に対する技術的な敷居が少し下がったと言われている。
何よりコスト削減だけではなく、戦略的なITの活用として統合、そしてその先にあるプライベートクラウドの活用は必然性を持っており、導入数、そして導入規模が大きくなっていくことが予想されている。
プライベートクラウドでは、従来の部門システムがクローズな基幹システムでのバックアップでのテクノロジに加え、全体の統合管理と最適化が重要になるため、効率的な管理を実現するための「バックアップシステムの可視化」が必要になってくる。この可視化を実現しているのが、「Symantec NetBackup OpsCenter Analytics」だ。OpsCenter Analyticsでは、現在のデータ量やバックアップシステムの状態、将来予測に加え、プライベートクラウドを構築する際、必要となるSLAやチャージバックシステムも提供している。
プライベートクラウドでのポイント1:SLA
SLAの締結、というと難しそうだが、データ保護の原則に立ち戻り、いつ時点のデータを戻すかという目標復旧ポイント(RPO)とリカバリに要する時間を指す目標復旧時間(RTO)から考えると整理しやすい。以下のような観点でのデータが必要となってくるであろう。
- バックアップ頻度/スケジュールとそれぞれの成功/失敗率
- リカバリ時間の目安としてバックアップ時間
プライベートクラウドでのポイント2:チャージバック
部門システムの管理をIT部門に移管し、IT部門が業務部門へサービスとして提供するプライベートクラウドでは、コストをどの部門が担うべきか、経営的判断もあってしかるべきだろう。実際に社内でのコスト振替を行うかどうかは、各企業の判断になるが、どの程度のコストがかかっているのか把握することは重要な要素となる。バックアップにかかるコストを含めた充実したレポート機能を活用するのがスマートだ。
OpsCenterは、NetBackupファミリーではあるが、Backup Execでも利用可能だ。グローバルレベルでみたデータ保護市場では、シマンテックを含め、トップ3社の環境をサポートしており、実に69%以上の分析が可能だ。
クラウドコンピューティングを支えているテクノロジのひとつにサーバ仮想化があげられる。サーバ仮想化への対応はもちろん、拡張性、パフォーマンス、SLA、チャージバックアップシステムを高い次元で提供できるバックアップソフトウェアの選択が重要になってくるだろう。
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石井明(いしい あきら)
株式会社シマンテック
プロダクトマーケティング部プロダクトマーケティングマネージャ
大規模環境向けバックアップおよびアーカイビングを専門とする。担当製品は主に「Symantec NetBackup」と「Symantec Enterprise Vault」。両製品を市場・ユーザーに向けてより一層訴求することに注力していく。
編集:田中好伸
Twitterアカウント:@tanakayoshinobu
青森生まれ。学生時代から出版に携わり、入社前は大手ビジネス誌で編集者を務めていた。2005年に現在の朝日インタラクティブに入社し、ユーザー事例、IFRS(国際会計基準)、セキュリティなどを担当。現在は、データウェアハウス、クラウド関連技術に関心がある。社内では“編集部一の職人”としての顔も。