ITR、電力危機を乗り切るために緊急提言--今夏の電力供給はいまだ非常事態

田中好伸 (編集部)

2011-04-27 20:16

 アイ・ティ・アール(ITR)は4月27日、今夏の電力供給の状況についていまだ非常事態が継続しているとして、国内企業に向けた緊急提言「電力危機を乗り切るデータセンター対策」(PDF)を発表した。

 同社は、現在の状況について電力危機を想定せず、従来通りの企業活動を続けられるとの楽観視は危険と認識。節電規制への対策を早期に打ち立てるとともに、計画停電が発動された場合のシナリオについても想定しておくことを推奨している。

 ITRでは、企業の情報システム部門は、地震リスクに加えて、節電規制、計画停電という3つのリスク対応を迫られていると説明している。

 節電規制は、電力消費の総合的抑制が求められる。中堅中小企業では、オフィスビルの一角を改造したサーバルームを利用するケースも多く、自家発電機を備えていなければ、システムの稼働停止を余儀なくされる事態も発生すると説明。安定した電力供給が期待できるサイトへのサーバの待避、遠隔二重化を検討するか、停止を前提としたシナリオを作るという選択をする必要があるとしている。そのために、継続運転が必要な優先システムを特定することも急ぐ必要があると提言する。

 商用データセンターへの移設は、地震対策だけでなく、電力対策としてのニーズが高くなっていることから、現在主要なデータセンター事業者は案件対応が急増しているという。計画停電や想定外の停電に対しても、自家発電機を備え、燃料会社との優先契約を行っているため、サーバを預けることは有効な対策の一つと推奨している。

 セカンダリサイトでのシステム二重化による業務継続対策についても、現在急速に需要が増していて、プライマリサイトが関東圏の場合は、セカンダリサイトを大阪や名古屋より西の地域に構築することが賢明な選択とも説明している。

 サーバ移転や二重化で西日本を重視する傾向が金融業以外の業界でも一般化しつつある。だが、関東圏に比べて、大阪を中心とする西日本のデータセンターはそもそも数が少なく、敷設面積を比較しても、大阪は東京の1割にも満たないと推測しており、大阪のデータセンターは近く需要過多になると予測している。こうしたことから、長野、名古屋、神戸、福岡といったほかの60Hz圏の主要都市のデータセンター活用が進むと予想している。

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