米沢事業場内に設置されているサーバや端末、そして外部にあるデータセンターは無事だったが、それを結ぶネットワークが断絶。これにより生産指示が出せない状況になっていたのだ。ネットワーク回線の切断は、事務作業の遅れなどにもつながることになる。
米沢事業場では、別のネットワーク回線確保に奔走。なんとか成功したのものの帯域が狭いため、事務部門におけるメール利用を必要なものだけに制限。生産管理システムの稼働を優先することで、3月13日からの生産ライン稼働後も、ラインを停止させないようにした。
一度復旧したネットワークは、その後の余震によって再度寸断され、一時的に生産ラインが停止するという事態に陥ったほか、2度に渡る計画停電に対応するため、午前中に生産ラインの稼働を停止して午後1時から午後8時の稼働にシフトするといった対策も行った。
調達網を変更、生産継続を図る
一部の部品メーカーでは、東北地区への部品出荷を停止するメーカーが出てきたため、東京・府中市のNEC府中事業場に一時的に部品を集約した。ここからNECパーソナルプロダクツ独自の流通ルートによって、米沢事業場に部品を配送するという仕組みを確立。部品調達や生産に遅れが生じないようにした。
一方で、交通面での懸念にも対応した。米沢事業場は自動車通勤の従業員が多いため、ガソリン不足によって通勤できなくなる可能性もあったのだ。この懸念を解消するために、通勤用のマイクロバスを巡回させた。さらに、完成品を出荷するために、被災地に支援物資を運んだ帰りのトラックを活用して、トラック不足により滞っていた出荷手段を確保したという。
NECパーソナルプロダクツでは、3月は計画値の75%程度の生産量に留まると予測していたが、結果として、計画通りの数量を生産できたという。
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