IDC Japanは5月31日、2010年の国内セキュリティ市場規模と2015年までの予測を発表した。2010年のセキュリティソフトウェア市場は、前年比成長率11.8%の2030億円となった。今後、東日本大震災の影響でIT支出の抑制傾向が強まるが、2012年以降にはID管理およびアクセス管理製品を中心に需要が高まると予測している。
IDC Japanによると、2010年はソフトウェア製品の市場規模が2030億円で、前年比成長率が11.8%となり、2009年のマイナス8.2%から回復した。セキュリティアプライアンス製品市場規模は293億円で、前年比成長率がマイナス13.5%となり、2009年を下回る実績となった。セキュリティサービスの市場規模は6182億円で、前年比成長率は6.0%だった。
今後の予測では、2011年のセキュリティソフトウェア市場は、大震災の影響によるIT支出抑制が強まり、成長が減速すると見ている。しかし、2012年以降には、被災地復興のためのIT基盤整備や、自社所有のリスク管理の見直しによるクラウドサービスの利用拡大によって、IDおよびアクセス管理やウェブセキュリティ管理製品を中心に需要が高まると予測。市場全体の2010年〜2015年における年平均成長率(CAGR)は2.8%で、市場規模は2010年の2030億円から、2015年には2330億円になると予測している。
2010年のセキュリティアプライアンス市場は、「市場規模が最も大きい」(IDC Japan)UTM製品をはじめ、すべての製品分野で2009年を下回る実績となった。2011年は、大震災の影響でリモートアクセスの需要の高まりから、ファイアウォール/VPNやUTMが市場をけん引し、プラス成長に転じると見ている。2012年以降は、クラウドサービスの需要拡大とともに、ウェブセキュリティアプライアンスなどのセキュアコンテンツ管理アプライアンス市場を中心に市場が成長すると予測。市場全体の2010年〜2015年におけるCAGRは3.7%で、市場規模は2010年の293億円から、2015年には351億円になると予測している。
セキュリティサービス市場は大震災以降、被災地への復興施策によるICT基盤整備により、コンサルティングやシステム構築の需要が高まるとしているが、大震災後のIT支出抑制により、運用管理へのコスト抑制が高まり、市場成長の阻害要因になると分析。市場全体の2010年〜2015年におけるCAGRは8.6%で、市場規模は2010年の6182億円から、2015年には9322億円に拡大すると予測している。
なお、今回のレポートは、東日本大震災の影響も考慮して作成された。