EMCジャパンは6月8日、建設会社の大林組が同社のユニファイドストレージ「EMC CLARiX」とVMwareの仮想化技術を採用し、仮想環境を構築したと発表した。
大林組が最初に仮想化によるサーバ統合を検討したのは2007年。物理サーバ調達に関わる初期コスト、稼働後の運用負荷を低減し、インフラ関連のコストを下げたいというニーズがあった。近年、同社の情報システム環境においてIAサーバの台数は増加の一途をたどり、その構築・運用を担当するオーク情報システムでは、内蔵ディスクのパフォーマンス改善や故障対応など、サーバ管理に多くの工数を割かれていたという。
大林組は仮想化環境を構築するにあたり、3種類のハイパーバイザ候補を検討。約20台の物理サーバを1台に集約できる高い集約率や運用スキル、技術進化の一貫性などを総合的に考慮、さらに2003年以降の大林組内での実績を踏まえVMwareを選定したという。ストレージに関しても複数社のストレージ製品を検討し、VMwareとの親和性や遠隔レプリケーションの実績、重複除外などのストレージソフトウェアの充実、信頼性の高さなど、トータルで効率の高いストレージ環境を構築できることからEMC CLARiXを選択したとしている。
VMwareとEMC CLARiXを組み合わせた仮想環境構築は、2010年8月よりスタートした。物理サーバの更新タイミングに合わせて移行を進め、現時点では30台分のサーバ環境仮想化が完了している。当初は対象に含めていなかったユーザー部門管理のファイルサーバなども、サーバ提供までのリードタイムが大幅に短縮できるなどの理由から、ユーザー部門からの要望を受けて仮想化が行われているという。
この仮想環境の構築により、物理サーバを約20台から1台に集約するとともにサーバ環境の冗長化を図り、可用性やデータ保護レベルの向上を実現した。また、運用管理の負荷低減などの効果もあり、全体ではITインフラコストを20%削減できたとしている。
今後は80台のアプリケーションサーバの仮想化完了を目指すとともに、大林組グループ全体での情報システム環境最適化を目的として、この環境をプライベートクラウドとしてグループ会社へも適用していくことを検討しているという。