お客様は誰かをきちんと理解すべし
――そうしたガバナンスをリードするようなCIOは、これからどんどん出てきそうですか。
先ほどCIOが取締役会で行うプレゼンテーションを事前レビューしていて、取締役会のニーズとの間にギャップを感じるとお話ししましたが、その取締役会のニーズや戦略的なIT投資を起点にしたお話をすると、大半のCIOの方々がそれを即座に理解してプレゼンテーションの内容を一変して来られます。その機転の早さには非常に感銘を受けました。
――それは頼もしいですね。では多くのCIOを見て来られた経験から、CIOの資質として最も大事なのは何でしょうか。
CIOをはじめIT部門の方々全てに当てはまりますが、自分たちのお客様は誰かをきちんと理解していることが最も大事だと思います。CIOをはじめIT部門の方々は、社内のエンドユーザーが自分たちのお客様だと思っていることが少なくないのではないでしょうか。
それは違うとはっきり申し上げておきたい。お客様は自分たちの組織、すなわち企業が提供する価値に対してお金を払ってくれる人たちです。IT部門もその企業の一員である限り、営業をはじめとした他の部署とお客様に向いた顔の方向が一致していないといけません。そうでないと、競争力を高めるためのガバナンスなど徹底できるはずがありません。
私は、とりわけCIOの方々には、できるだけ外部のお客様にお会いする機会を増やしてその声をよく聞き、自分の会社がどのような競争環境に置かれているのか、どうすれば競争優位に立てるのかを身をもって感じてください、とお話ししています。それがひいては、CIOとしてガバナンスをリードする原動力にもなるはずです。
――最近では、日本でもCIOからCEOに就くケースが見られるようになってきました。
とても良い傾向だと思います。ITに精通しているだけでなく、ビジネスリーダーとしても認められる人材が出てきた証拠ですね。そういう方々は、ガバナンスの取り組み方も十分ご存知だと思います。そういう方々がどんどん登場してくることで、CIOという役職も一層洗練されていくと確信しています。
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