ITデリバリモデルの現代化はIT部門の現代化を求める

宮本認 (ガートナー ジャパン) 2011年06月30日 14時58分

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Service化が求めるIT部門の存在の大きな転換(承の部)

編集部より:ITコンサルタントである筆者の宮本認さんと情報システム部長との会話です。これまではSOAの“Service”によって企業ITの姿が大きく変わりつつあることを説明してきました。さて、ITのService化は何を企業にもたらすのでしょうか。あわせて起の部もどうぞ

個別案件での要件定義自体がゼロ?

「IT部門の業務が“ユーザーのニーズがあって、案件化し、プロジェクト化して、開発・導入をするって流れではどんどんなくなっていく”ってことじゃないかな。どちらかと言えば“IT部門の方で必要となるServiceを企画し、そこにはソフトウェアもインフラストラクチャも両方含むけど、整備して、ユーザーに届ける”って感じだね」

「結果としてどういうことが起きるようになると思いますか? ここは色々な観点が必要となるんですけど……」

「うぅん……何か俺ばっかり喋らされてるなぁ…。ま、良しとして…そうだねぇ…。まずはマーケティングが重要になるねぇ。ユーザーニーズを把握するってことは従来からやってきているけれど、自分たちで“企画・構築・運用責任”を負うようになると、ニーズそのままの反映というより、何を作ることが社内市場の中で『売れるか?』という経済性の発想がより重要になるね」

「その通りです。実際、海外のSOA化が進んでいる企業の組織図を見ていると“Relationship Manager”という管理職ポジションが置かれ、“社内営業”の役割として結構重要な役割を担っています」

「それから、さっきもちょっと言ったけど、製品企画が必要となるね。商品企画だけではなく、製品仕様までを担うという意味でね」

「素晴らしい。この製品企画という役割をITで担う人を“Architect”と呼んでいるみたいですね。“Solution Architect”というどの事業・業務にどのソリューションを当て込むかを考え、展開する人、“Application Architect”といってアプリケーション全体の構成や構造を考えている人もいます」

「へぇ~」

「当然“Technical Architect”といって、利用している技術の構成と構造を考え、規制している人もいます。すなわち、Relationship ManagerとこれらのArchitectたちが、ユーザー不在の中でITの仕様を決めて、値段を決めているんですよね」

「言いたいことはわかるねぇ。要は個別案件で要件定義をしているっていうよりかは、日々“全体”としての要件定義をやっているし、“全体”で使うようなServiceの開発をやっている感じなんだろうねぇ。それで、完成してユーザー受けしそうなものから、ユーザーに“営業”する。ま、個別の展開では、ユーザーが使いやすいように若干見直しをしたりするんだろうから、個別案件での要件定義自体がゼロになるってもんじゃないんだろうけどね」

疎結合から導き出されるIT部門の経営の変化

「まさに、その通りです。インフラのところも同様です。SOAや仮想化で、結局アプリケーションとインフラの関係は、“疎”になっていますから、インフラはインフラで、独自に技術戦略を立て、構成を設計し、能力計画を立て、実際に能力増強を行い、老朽化したソフトウェアやサーバは入れ替え、約束したサービスレベルとコストレベルを守りながら、安定・安全運用を行っていく…」

「うんうん」

「そうそう、こういう人たちを総称して、『Technology』と呼びますね。欧米の金融機関にいるCTO(最高技術責任者)は、こういった人たちのトップを指しています。銀行によっては、CIO(最高情報責任者)より上位の人がやっていることもあるんですよ」

「へぇ~。CTOを置くかどうかはおいておいても、TechnologyはTechnologyで独立して業務、いやServiceを行うっていうのは、すごくイメージがつきやすいね」

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