7.Linux Terminal Server
忌々しいクラウドのCMをあと一回見せられたら、わたしはテレビに食べかけのクッキーを投げつけてしまいそうだ。クラウドとはシンクライアントの別の姿であり、シンクライアントと言えば、わたしはいつも「Linux Terminal Server Project」(LTSP)を思い出す。もし「ダム端末」が使いたいのなら、LTSPはいいアイデアだが、昨今の驚くほど簡単に使えるライブCD版ディストリビューションを考えると、シンクライアントを使えるようにするプロジェクトは、2枚のライブCDでブートして、IPアドレスを設定すれば、すぐに動かせるというようなものであるべきだろう。しかし、そうはなっていない。実際、最後にわたしがLTSPを使おうとしたとき、時間と忍耐が底をつき、途中で断念してしまった。設定は不可能ではないが、本来あるべき水準よりもはるかに大変だ。
8.VPN
これは、クライアントとサーバの両方に言えることだ。これもまた、Linuxが一見克服不能な商用のハードウェアとソフトウェアの障害を超えなければならない問題だ。しかし、CiscoやMicrosoftに関する問題を別にしても、「OpenVPN」そのものが、とても設定しやすいとは言えないものだ。このため、LinuxのVPNソリューションを利用しているビジネスユーザーはほとんどいない。VPNユーザーの大多数は、CiscoかMicrosoftのVPNソリューションを利用しており、これにLinuxクライアントでつなげることは簡単からはほど遠い。GNOMEやKDEのGUIツールを用いても、VPNの設定はよく言っても微妙という水準だ。
9.WINE
「WINE」はLinuxとWindowsの間に、Windowsアプリケーションの実行を可能にするレイヤをインストールするというものであり、理想的なソリューションのはずだ。しかし、実際にはそうではない。これは商用アプリケーション(例えば、「QuickBooks」や「iTunes」、そして数多くのゲーム)を動かしたいユーザーには、魅力的に見えるかもしれない。しかし実際には、そのアプリケーションは動かないか、動いたとしても一部の機能が利用できないということが多い。理想の世界においては、WINEは必要ではなく、Linuxにはあらゆるアプリケーションについて、代わりになるFOSS版のものが存在しているはずだ。しかし、現実の世界では、大多数のPCユーザーは、Microsoft Windowsの専用アプリケーションを必要としている。
10.SQL-Ledger
「SQL-Ledger」は、わたしが本当に惜しいと思っているアプリケーションの1つだ。その理由は、クライアント・サーバ型、ウェブベースのいずれにせよ、QuickBooksと比肩できるソフトウェアが皆無だからだ。Linuxは、このソフトウェアを本当に必要としている。QuickBooksは中小企業市場を支配しているが、あまりにも問題が多い。もしLinuxコミュニティーが、簡単に使え、簡単にインストールでき、簡単に管理できるQuickBooksの代わりになるソフトウェアを持つことができれば、状況は一変するだろう。わたしは何度も「SQL-Ledgerを試してみろ」と言われてきたし、試したこともあるのだが、このソフトウェアのインストール作業の難しさは、平均的なビジネスユーザーがこのソリューションを試すことさえ不可能にしている。SQL-Ledgerは中小企業向けの完璧なソリューションになり得るのだが、この問題があるために、誰もそれを知らないままになっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。