IDC Japanは6月21日、国内の仮想化ソフトウェア市場実績と2015年までの予測を発表した。国内の2010年の同市場規模は前年比57.7%増の219億900万円、2010~2015年の年平均成長率(CAGR)は22.7%と予測している。
同社は仮想化ソフトウェアを「バーチャルマシンソフトウェア」と「アプリケーション/ユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェア」の2つに定義している。
バーチャルマシンソフトウェアは、特定のハードウェア環境の低レベルな機能を利用する、あるいは複数のOS環境やアプリケーションなどのスタックをサポートするためにソフトウェアを使って完全なハードウェアのエミュレーションレイヤをインストールするものと定義している。一般的にはハイパーバイザとして知られており、サーバ仮想化やデスクトップ仮想を実現するものとしている。
アプリケーション/ユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェアについては、アプリケーションの仮想化やユーザーセッションの仮想化を通して、アプリケーションとユーザーのデスクトップ環境間の結びつきを最小限にすることで、アプリケーションの管理を簡素化するものと定義している。
バーチャルマシンソフトウェア市場の2010年は前年比57.7%増と大きな成長を達成したという。それまでは大手や中堅などの企業が主体だったが、2010年は新規に導入する企業が地方や中堅中小にも拡大したとしている。既存導入ユーザーが仮想環境を拡大させるために、ライセンスを買い増すなども成長の要因としている。
2010年には、デスクトップ仮想化の案件も急増しており、市場が本格化する様相を見せ始めているという。2010~2015年のCAGRは22.7%で、2015年には610億円と予測している。
アプリケーション/ユーザーセッションバーチャライゼーションソフトウェア市場の2010年は、前年比5.6%増の154億円8100万円。市場の90%を占めるプレゼンテーション仮想化は金融や公共、教育機関などを中心に根強い需要があるが、バーチャルマシンソフトウェアによるデスクトップ仮想化を選択するユーザーが増えていることから、成長が鈍化しているという。
一方のアプリケーション仮想化はWindows XPからWindows 7へのアプリケーション移行のつなぎ役として需要が高く、60%以上の成長になっているとしている。今後2~3年は同様の傾向が続くと見られ、2010~2015年のCAGRは5.1%、2015年の規模は198億円になると予測している。