IDC Japanは6月23日、国内ITサービス市場予測を発表した。同市場は東日本大震災の影響を受けて、2011年は前年比1.8%減となる見込み。2012年以降はプラス成長に転じ、2015年の市場規模は5兆3455億円、2010~2015年の年平均成長率は1.6%になると予測している。
震災の直接の被害に加えて、今夏に予想される広い範囲での電力不足が原因で、大企業を中心に新規システム投資やITサービス支出全般に対する慎重姿勢が強くなっているという。2008年9月のリーマンショック以降の景気後退による影響から立ち直り、震災前にはプラス成長を見込んでいた2011年の国内ITサービス市場だが、3年連続のマイナス成長になりそうだ。
ただし、事業継続(BC)や災害対策(DR)に対する投資、その一環としてのデータセンターアウトソーシングの利用、テレワークの浸透によるシンクライアントやデスクトップ仮想化といった、ITインフラに関する支出は一部で拡大が予測できるとしている。
2012年以降は、災害からの復興需要や抑制していた投資再開で、国内ITサービス市場はプラス成長に転じるという。クラウドなど低価格サービスへの移行、大企業を中心にしたITのグローバル化などで、2012年以降の成長率は3%前後にとどまる見込みとしている。
同社の寄藤幸治氏(ITサービスグループマネージャー)は「国内ITサービスベンダー各社は、復興から平時への段階で起こる顧客嗜好(しこう)の変化の把握やグローバルなITマネジメントなど、新たな企業の課題を先取りしつつ、社内外や国内外のパートナーと協業して、新たなサービスやソリューションの開発と提供を行うべき」とコメントしている。
※クリックすると拡大画像が見られます