日本は米国に比べ、クラウドの普及が遅れていると指摘されているが、Pinkham氏は「日本はイノベーションを継続してきた長い歴史をもっており、数多くの革新、発明を成し遂げ、多様な分野でリーダーシップをとってきた。例えば、モバイルコンピューティングでは、携帯電話、スマートフォンを通じたウェブサービスの活用など、日本独自のアプリケーションがある。当社はまだ小規模ながら軽いフットワークで動ける企業であり、日本のクラウド領域が未だそれほど大きくなくとも、臆することなく進出していくことができるだろう」と述べた。
同社が照準を合わせているのは主として大企業だ。
「中堅中小の企業は、長期的にはホスティングサービスなどを多用するようになり、オンプレミスのインフラ活用は減っていくのではないか」(同)とみており、「我々がよりフォーカスしているのは大手だ。特に、多様性のあるアプリケーション群を使用している、あるいは多くのソフトウェアを開発している企業や、コンプライアンス対策、セキュリティ確保、パブリッククラウドへの移行などを考えている企業」(同)を念頭に置いている。
人気のあるウェブアプリケーションを構築している企業が、ソフト開発の支援や、顧客企業の委託を受け、アプリケーションを運用する際にNimbula Directorを活用している事例がすでにあるという。
また、Nimbula Directorは災害復旧(Disaster Recovery:DR)対策となる機能も備えている。
「Nimbula Directorにより、バーチャルマシンの相互間で複雑なアプリケーションの記述が可能になる。また、データセンターはNimbula環境であるかないかにかかわらず、Amazonの環境であっても、インスタンス化できる。アプリケーションのワークロードを移行するのにかかる時間は数分ですむ。DRは、データの複製も必要になるわけで、これは他社製品に任せる」(同)
同社は現時点で、まず日本市場で革新的なユーザーの成功事例をつくることに力を集中している。
Pinkham氏は「半年から一年程度をかけ、企業からの評価を聞き、我々の仮説を検証していきたい。そのような実装の期間に、市場にある潜在力などがわかってくるだろう。日本市場は震災の影響が大きくなっているが、時間が経過して回復に向かえば、長期的には軽量化し、生産性を高めたかたちでITリソースを活用したいとの志向が大きくなっていくのではないか。当社はこのような長期的トレンドを見据えて訴求していきたい。まず、無料版をどんどん使ってもらい、裾野を広げていって、そこから見えてくるニーズを拾い上げていきたい」と述べ、じっくり腰をすえ、日本市場での浸透を図る姿勢を示した。
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