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ソーシャル・ビジネス--利潤を追求しない企業体はあり得るのか? - (page 2)

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2011-07-05 08:00

競争環境の歪み

 一方で、こうした投資家へのリターンを前提としない事業体が事業の拡大を志向した場合、利潤追求企業よりも優位に競争を進めることとなり、市場の競争環境に歪みを生じさせる懸念もある。しかし、そもそもソーシャル・ビジネスが志向しているのは、既存のビジネスが不当に弱者から搾取を行っていたり、あるいは全くサービスが提供されていない領域である。

 そして、仮にソーシャル・ビジネスが社会的課題の解決を実現するという目的を達成し、なおかつ更に成長を目指そうとするならば、それは当初与えられた資金使途とは異なる目的への流用ということになる。つまり、与えられた資金の性質が、事業性資金ではなく、慈善事業に対する寄付に近いものであるとすれば、単なる事業拡大は認められないのである。つまり、一般的な事業との競合というのは限定的である。

成熟した社会における新しいビジネスモデル

 心理学者Maslowの自己実現の理論によれば、人間の欲求というのは生理的欲求などを含む「欠乏欲求」から、社会的問題の解決などを含む「自己実現の欲求」へ移行していくという。つまり、経済的発展と社会の成熟により「欠乏欲求」が満たされれば、社会的要請は「自己実現の欲求」を満たす方向へ進むこととなる。そうした環境下においては、社会的課題の解決を目指すソーシャル・ビジネスの実現性は高まると言えるだろう。

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飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

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