日本企業は縦割りの組織が多いのですが、ここでは部門長が部門を守ることを最大のミッションであると思っている傾向がありますね(笑)
--そして、それが「良い上司」と思っている方も多いでしょうね(笑)
そう(笑)ですから、国内の企業はクラウドによって人員削減できるなどと、まったく期待しない方が良いと思います。それに、SaaSをやるにしても何らかの運用者は必要ですし、運用者が大幅に減るということはありませんから。
ビジネスに直接貢献できる業務にこそクラウドを用いるべき
--「今後のクラウド化の予定」への問いに対して「導入する予定はない」との答えが45.37%もあり、最多の回答となりました
2008年頃から、ITRはさまざまな企業にクラウドを紹介してきました。おもしろいし、価値をもたらすものと捉えていますが、そう感じていない企業も少なくないのです。
一般に国内企業は、常時ITに張り付いている要員が少なく、一人の従業員が多様な任務についていることがほとんどです。価値の高い仕事をしている人もいますが、ビジネスへの貢献度の低い仕事をしている人の方が多いわけです。
経営層はこの事実に不満を持っているのでしょうが、システムが稼動している以上、その「お守り」は必要になる。ITについて、こんな感覚をもっている経営者やビジネス部門の要員もいるのです。
付加価値の低い業務は外注に委ね、自社ビジネスに貢献できる部分は自分たちでやろうとするなら、パブリッククラウドは適していると話してきました。それが昨年くらいには、クラウドをもっとビジネスに活用しようということで、たとえばグローバル展開を進めるのであれば、クラウドを活用するほかないのではないか、というような訴求をしています。イノベーティブな仕事、ビジネスに直接貢献する仕事などは、パブリッククラウド導入のトリガーになり得ると思います。かなり、話に乗ってくるようになっています。