IDC Japanは7月19日、国内中堅中小企業(SMB)のストレージ利用実態調査結果を発表した。
同調査は、国内の従業員規模1000人未満の企業(SMB)と、中規模および中堅、大企業の支店や支社、部門や部署などのストレージ担当者、計2022人を対象に実施された。ストレージの購入方法から、運用と管理の現状と課題、今後の投資意向などを分析したとしている。調査は東日本大震災の後に実施したもので、今後の投資意向にその影響が色濃く反映されているという。
サーバやストレージなどのシステム投資で重視する点について、2010年度と2011年度を比較すると、2011年度は「災害対策強化」の回答率が非常に高かった。また、2011年度にストレージ関連支出を増額させる企業の増額理由も、「災害対策強化」の回答率が2010年度と比べ高くなっているという。これらから、災害対策に関する投資は大企業中心の進展だったが、震災の影響でSMBでも災害対策強化を念頭に置いたストレージ構築を行う企業が増加すると予測している。
また、震災によって、オンラインストレージサービスの利用意向にも変化があった。今回の調査では、オンラインストレージサービスの利用を検討している企業のうち、3割強が災害時の事業継続を目的としていることがわかった。これは、現在利用中の企業と比較して約2倍の回答率だという。
オンラインストレージサービスの利用を検討している企業の中には、自社でストレージを所有するよりも運用管理者の負担が軽減できることや、自社でバックアップするよりもデータ保護レベルが向上することを理由に挙げる企業も多かった。そのため、IDCでは、SMBのオンラインストレージサービス利用の潜在需要は高いと分析している。
IDC Japan ストレージシステムズ マーケットアナリストの高松亜由智氏は「国内SMBでは、ストレージ導入に際して初期費用を重視する傾向が高い。オンラインストレージについても、サービス開始にあたっての初期コストに懸念を抱く企業は多い。また、SMBや支店および部門では、ストレージの管理者やそのスキルが不足している場合も多く、専任以外でも容易な導入と運用管理が可能なことがストレージ選定基準の上位に挙がっている。ただし、SMBで災害対策強化投資が本格化するには、SMBにとって導入障壁の低い災害対策ソリューションが市場で用意されていることが前提条件となる」とした上で、SMBのシステム投資はより業績に左右される傾向もあると指摘。「国内SMBの災害対策への投資意欲の高まりが実際の支出に結び付くか否か、またその支出規模は、今後の業績次第の側面も大きい」とコメントしている。