BAは全社的に使った方が効果が出ますし、高い価値を得ることができます。
いろいろなビジネスプロセスがありますが、たとえばクレジットカード業界で、取引内容をスキャンして不正を検知するといったオペレーションでも効果が期待できます。また計画関連、戦術的な業務プロセスにおいても、たとえば2週間に1回、購買の決断をする際にBAを使って結果を改善していくという活用法もあります。
さらに、意思決定に関わる戦略的なプロセスにも有効です。新商品をいつ投入すべきか、投入したらどうなるかといったシナリオですね。企業にはこういった3つの異なるプロセスがありますが、そのどれにでもBAを入れるメリットがあるのです。
米国では、上司が意思決定する場合にコンサルタントを活用します。しかし、それが正しいかどうかの高度な判断はできません。それに、プロセスは業種によって異なります。特に製造や通信はプロセス中心の業界と言えるでしょう。そのため、意思決定に関わる要素をドキュメント化していく傾向にあります。金融機関でも2008年のリーマンショック以降はそういう動きに近づいています。
増加する非構造化データ
――これまで企業が分析していたのは、リレーショナルデータベースに格納できるような構造化データでした。でも、これからはたとえばTwitterやFacebookなどから発生する非構造化データが増え続けていきます。これまでと異なるデータというのが、ある意味ビッグデータの本質かもしれません。それについてはどうお考えでしょうか。
SASでは、そういった分野に3年前から投資しています。たとえば、いろいろなメールの内容を分析して質問なのか苦情なのかを調べ、適切な担当者に割り振る。それが伝統的な使い方でした。
それが最近では、Twitterなどの会話レベルの内容も分析し、返答が必要かどうかを判断、改善につなげていくといった使い方も考えられます。
イタリアにあるリンク分析の会社では、顧客の特定化を開発しています。顧客がソーシャルネットワークで誰にリンクしているかを調べることでセグメント化するというもので、顧客の“質”を比較して判断できます。
「SAS Social Media Analytics」をローンチしたときに、それを業務システムの中で使いたいという声が多くありました。たとえば、通信であれば違反防止、製造であれば不具合の早期検知など“顕在化していない不具合”をソーシャルメディアで検知できるためです。SASのお客様にはそういう方が多くいらっしゃいます。SASのやりたいことは、ネガティブかポジティブ、どちらかの反応を調べるのではなく、企業の分析というコンセプトの中でビジネスプロセスを改善していくということであり、それが強みでもあるのです。
――ビッグデータには、RFIDなどといったセンサからのデータを分析するという側面もありますね。
SASでは現在、CEP製品を開発しています。これは、センサネットワークから発生する生のデータやストリームデータなど、ナノ秒レベルで押し寄せる高速なデータをハンドリングし、分析するための技術です。
――SASもCEP市場に参入するということでしょうか。
SASではもともと機能としてCEPを提供していて、すでに実際に導入しているお客様もいらっしゃいます。SASはデータのハンドリングが一番コアな部分です。いかに速く分析するかという技術においては、入力されるデータが何であるかはあまり関係ないんです。ただ、センサデータのようなファストデータでは、データを取得して分析したら捨てるという作業が必要になります。SASはそういう技術に投資しています。
IBMなどが提供するCEPとはニュアンスや側面が違うとは思いますが、構造化データと非構造化データをまとめて同じレベルで処理できることはSASの強みです。
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