デスクトップLinuxは長い間、Linuxやオープンソースの技術を使うことの価値やメリットを説得しようと努めてきました。非常に重要な価値ではあるのですが、ユーザーが切り替えようと思うほどの説得力を持たなかったといえます。
考えるべきはWindows 7ではなく、Windows XPやWindows Vistaユーザーがマシンを買い換える際、どうやったらUbuntuを選択肢に入れてもらえるか、でしょう。マシンの色は何にしようか、スペックはどうしようか……こういったことは考慮するでしょうが、OSを検討に入れてもらうということは簡単なことではありません。
さまざまな取り組みが必要ですが、最低条件として他のOSと同じレベルの見栄えを持つインターフェースが必要です。ここに支障があると選択肢には入りません。周辺機器やアプリケーションについても同じことが言えます。それでもユーザーが他のOSを選ぶとすれば、理由はなぜなのか?これを考えています。
調査の結果、Ubuntuは一部のユーザーに訴求力を持つということがわかりました。メインストリームのトレンドを追うのではなく、人とは違うことを好むタイプの人々です。ブラウザならInternet ExplorerではなくFirefox、スマートフォンならiPhoneではなくAndroid、音楽ならヒットチャートのポップミュージックよりもインディーズを選ぶような人々です。実際、ユーザー調査では、パーソナライズ機能などのインターフェースは高く評価されています。
--Chrome OSのような新しいタイプのOSも登場したが、どう考えているか
私自身、Chrome OSを使ったことがないので何とも言えませんが、ウェブ中心のクラウドOSと聞いています。Ubuntuとは種類が異なりますね。常時オンラインが前提となれば、わたしの住むロンドンではまだ快適に利用できるとは思えません。
--OEMへの取り組みの現状は
現在、UbuntuでLenovo、Dell、ASUS、シャープ、Ubuntu ServerでHewlett-Packardなどと提携しています。2010年、OEM経由で500万台を出荷しました。これは対エンドユーザーで、企業は含まれていません。2011年には1100万台と予想しています。
--ロゴの変更やウェブサイトのリニューアルなどを実施したが、ブランディング強化が目的か
ブランディングは、さまざまな理由からとても重視しています。ロゴの変更やサイトのリニューアルは外側の取り組みとなります。
我々がフォーカスしているのは、これまで関心を持ったことのないユーザーをどうすればひきつけられるか。人々がUbuntuに興味を持つきっかけや入り口となるのは、必ずしも技術ではないでしょう。先ほど述べた潜在ユーザーがOSについて話すのは想像しにくいので、ほかとは違うOSがあると知ってもらうきっかけ作りを仕掛けたいと考えています。
まずは、ソーシャルメディア要素を強化し、Ubuntuに参加できるオンラインエクスペリエンスを提供していきます。9月頃からFacebookやブログなどのソーシャルメディアで活発に取り組んでいく計画です。