Teradataは1984年以来、ビッグデータのビジネスに関わっています。つまり、ビッグデータの処理は私たちが顧客に提供できる根本的な価値と言ってよいと思います。現在になって、いろいろな種類のデータ、形態の新しいデータが出てきました。その処理方法も多彩になっています。今後20年、Teradataが成長し続けていく上でビッグデータは歓迎しますし、成長に必要であったともいえます。
150Tバイトのデータで欠陥品を減少
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――実際にビッグデータを取り込んで活用している企業の事例はあるのでしょうか。
すでに多くの事例があります。米国だけでなく、世界中で事例が出てきています。たとえば、eBayはDWHアプライアンス「Teradata Extreme Data Appliance(EDA)1650」をクリックストリーム分析に採用しています。ビッグデータを掘り下げて分析することで顧客の行動や振る舞いを把握しています。さらに(分散並列処理フレームワークの)「Hadoop」を活用し、販売商品の色や柄などの画像処理に使用しています。ほかにも、多くの企業がHadoopを使ってログを抽出、変換し、その情報をDWHに読み込んで活用しています。
著名な企業という点ではWestern Digitalも興味深いです。同社はコンシューマー向けHDD生産量1位の企業で、品質向上に全社を挙げて取り組んでいます。
同社は、1秒間に6個、1日に50万個ものHDDを生産していますが、生産も含めたサプライチェーン全体ですべての機械でセンサデータを把握しています。テストする時にもセンサを用いて、データをキャプチャしています。欠陥品が出た場合は、センサデータをもとにその原因を即座に発見して、欠陥品の流出を防ぐという取り組みを進めています。
欠陥品は保障に対するに費用もかさみ、顧客満足度も犠牲にしてしまいます。同社の場合、設計から生産、営業、顧客サポート、販売代理店に至るまで、HDDのシリアルナンバーから詳細なレポートを確認できるようになっています。
同社は全社レベルのDWHとして1カ月あたり10Tバイトというデータを2つのTeradata製品に蓄積していて、一つは3カ月、もう一つは12カ月の履歴を保持しています。全体で見ると、150Tバイトものデータが同社の高収入を支える源泉の一つになっていると言えるでしょう。
社名は言えないのですが、あるクレジットカード会社の事例もユニークです。この企業は取引をウェブ経由で承認していて、HadoopとTeradataを不正検出に活用しています。ニセのウェブサイトを通じて、オンラインで銀行から金銭を引き出す犯罪者が存在するため、ウェブページ自体を分析して、不正利用防止に努めています。
同社は、怪しいウェブページを数日間キャプチャして、Hadoopでウェブサイトのレイアウトなどを分析しています。ウェブサイト自体がどのように変化するのか、たとえば数日後に、どの程度堅牢なサイトに進化したかを分析します。不正なウェブサイトはレイアウトと展開がある一定のパターンに沿う傾向があることが分析結果から分かってきたといいます。
同社の場合、複雑なデータマイニングをHadoopで行い、予測モデルを作成します。そのモデルをTeradataのDWHに取り込んで、同社の取引先をスコアリングします。パターンが一致した際には、その不正取引をした企業とのトランザクションを即座に停止することで、財務上の損失防止を防ぐだけでなく、消費者がニセのウェブサイトから届くことのない商品の購入を防ぎ、将来的な搾取に使われるクレジット限度額の引き上げも防いでいます。