MotionBoardでは、「超高速チャート描画テクノロジー」も搭載している。一般的なBIツールで必要となるグラフやチャートは、大量の本数の折れ線を描画しようとすると、速度が遅くなったり、1本1本の線や点のポイントを把握したりすることが困難になるという。今回ウイングアークでは、超高速チャート描画テクノロジーを活用することで、どんなに本数が多くても、ポイントと線を高速に認識できるとともに、大容量データを複数画面に配置しても高速に描画できるとしている。
これらの技術は、Dr.Sum EAブランドの時でも搭載していたが、今回の単独ブランドとして提供するにあたり、新しいアルゴリズムを組み込み、ブラッシュアップを図っている。Dr.Sum EAブランドの時と同じように、エンドユーザーが作成したチャートは、エンドユーザー自身が好きなように棒チャートや円チャートに種類を切り替えられ、そこから気になるデータをドリルダウンやドリルスルーできるようになっている。たとえば担当エリアだけを絞ってみる、地域レベルで見る、店舗単位の状況を見る、取引明細まで細かく見ていくことで、なぜそうなっているのか原因を掘り下げられる。
BIだけにとどまらないMotionBoard
同日に開かれた記者会見で、ウイングアークの持ち株会社である1stホールディングスの最高技術責任者(CTO)を務める田中潤氏(執行役員、MotionBoardの開発を担うフォー・クルーの代表取締役社長を兼務)は「W-IMOテクノロジーと超高速描画テクノロジーを活用することで、問題点を直観的に指摘する主張型の“ダイナミックアラート”」が可能になると説明。これは「問題のある部分が浮き出てきたり、飛び出したりすることで、次のアクションを起こしやすくする」(田中氏)というメリットをもたらすという。
Dr.Sum EAブランドのBIフロントツールとして提供が始まったMotionBoardは、今後単独のブランドとして提供されることになる。ウイングアークと1stホールディングスの代表取締役社長を兼務する内野弘幸氏はBI市場が今後も堅調に成長していくことを説明。その上でMotionBoardがさまざまなシーンで活用できるツールであることを強調している。具体的には(1)経営マネジメントボード、(2)ブリーフィングツール、(3)モバイルダッシュボード、(4)管理状況の可視化ツール――という4つのシーンを挙げている。
(1)の経営マネジメントボードは、重要管理指標を可視化して、部下からの報告を待つことなく、経営者自ら刻一刻と変化する状況をリアルタイムに把握して、企業の意思決定の迅速化に貢献するという。(2)のブリーフィングツールでは、MotionBoardによるチャートなどを経営会議や営業会議の場で大型モニタやプロジェクタに投影して、参加者全員が共通の画面を通してデータを見ることで、活発な議論を促進できるとしている。
(3)のモバイルダッシュボードでは、MotionBoard +Mobileを活用することで、経営者やマネージャーがどこにいても社内業務の状況を把握できるという。(4)の管理状況の可視化ツールは、たとえば工場の生産管理現場など、大型モニタで生産管理状況を共有したり、管理モニタで情報を共有したりして、現在の状況の共通認識を高め、業務効率化を支援できるとしている。内野氏は「リアルタイム性の向上とあらゆる利用シーンに対応することでMotionBoardはBIだけにとどまらない」と、その潜在可能性を説明する。